幽鬼の支配者編
EP.25 暴走する魔人
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は……これは、俺がやらなくちゃならねえ事なんだ!!」
魔導集束砲からギルドを守り、その消費で動けないはずの二人がこの場にいる事に面食らったエルフマンだったが、すぐに怒鳴った。
姉弟が抱える事情と悪魔の“接収”のリスクを照らし合わせたワタルは、暴れる魔人をなんとか抑えながら、大体だが事情を把握する。
「……それで、いいのか?」
「ああ……俺には、こんな事しか――」
「エルザ」
「……ああ」
静かなワタルの言葉に同調したように、エルフマンも激昂から覚めて力無く言う。
彼の言葉を最後まで聞くことなく、ワタルがエルザに短く言うと、彼女は頷き……
「この、馬鹿者が!!」
「ア、グ……!」
魔人の抑えで手が離せないワタルの代わりに、エルフマンの腹を殴った。
“獣王の魂”で巨大化していたため、彼女も本来なら頬に一発入れていた所だったのだろうが、やられたエルフマンからすれば悶絶する事に変わりは無い。
蹲って呻く彼に追い打ちを掛けるように、彼の首元を掴んだエルザは口を開く。
「そんな事でミラが、お前の姉が喜ぶとでも思っているのか!? 優しいアイツの事だ、お前を傷つけたと知れば、ますます自分を責めるに決まってるだろう!!」
「グ……じゃあ、じゃあどうすりゃいいんだ!? 他にどんな方法で、俺は姉ちゃんに報いればいいっていうんだ!?」
エルザの説教に、エルフマンは顔を上げて悲痛な表情で、痛みに泣き叫ぶように吠える。
自分が“獣王の魂”を制御できなかったせいで、リサーナは死んだ。
だが姉も、リサーナと仲が良かったナツも、誰も自分を責めないし、誰も自分に罰を与えてはくれない。
時が経っても自責から逃れる事はできず、逆にエルフマンに余計に重くのしかかる一方だった。
だから、姉が負の感情に振り回されるままに自分に襲い掛かる事で、彼女が心の闇から解放されるなら、自分には最高の罰であると同時に、償いであると思ったのだ。
「安易な贖罪に逃げ込むな!! ミラジェーンと二人で、リサーナの分も生きていくと決めたんだろう!?」
「でも……じゃあ、誰が姉ちゃんを止めるんだよ!?」
「忘れたか、エルフマン……」
エルザの説教に言い淀み、やや自暴自棄になって吠えるエルフマンに答える者がいた。
彼に背を向けたまま、暴れる魔人の両の拳を抑えているワタルだ。
エルフマンからは見えなかったが、その口元には不敵な笑みが描かれていた。
「問題ばっかり起こす、このギルドの“ストッパー”が、誰なのかを、な!!」
頭突きで魔人を怯ませた後で、彼女を崩れた壁から外へ投げ飛ばしたワタルは、翼で滞空する“魔人”から視線を外さないままに、指
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