幽鬼の支配者編
EP.25 暴走する魔人
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へ向かったのだが……“幽兵”との戦闘中だったため、彼らに気付く者はいなかった。
= = =
絶叫が小さくなっていき、代わりに唸り声のような声と共に、ミラジェーンを包んでいた光が徐々に収まる。
そこに居たのは、温和ないつもの優しい笑顔の彼女ではなかった。
手入れに行き届いていた長い銀髪は逆立ち、整っていた顔の右側には罅のような模様が入り、耳は一目で人間の物ではないと分かるほどにとがっている。
上腕には爬虫類の鱗と魚類のヒレのようなものが浮き上がり、爪も肉食獣のように鋭利になっていく。
そして、禍々しい尻尾をなびかせて敵を……幽鬼の支配者のエレメント4の一角、ソルを冷たく見ている姿は、まさしく“魔人”のものだった。
「こ、これは一体……」
エルフマンにとどめを刺そうとしていたソルは、エルフマンの“全身接収・獣王の魂”への変身の余波で吹き飛ばされていた。
獣が威嚇するような唸り声が彼の恐怖を煽っており、それだけでも彼にとっては重圧となっているのに、“魔人”の出現はさらに、彼の余裕を奪っていた。
ミラジェーンの“全身接収・悪魔の魂”は、蝙蝠のような翼をはばたかせると、崩れた壁から幽鬼の支配者内へ侵入。
獣王の姿となったエルフマンの横に並び立ち、ソルを冷たく見据える。
「ひ…………うーん……」
悪魔の絶対零度の視線と、獣王の唸り声を上げながらの威嚇の視線。
嫌が応にでも、『弱肉強食』という自然界の真理からなる原初的な恐怖を思い起こさせ、それはソルの小さな心を折るのに十分であり、精神の許容範囲をあっさりと超えてしまう。
「姉、ちゃん……?」
「……」
ソルが気絶した事によって我に返ったエルフマンは、隣のミラジェーンの姿に呆然とした。
薄ら寒さに背筋を凍らせながら、おそるおそる呼び掛ける彼に、彼女は黙ったまま応えない。
いや……
「……ミツケタ……」
「え……?」
一言だけ、ぼそりと夜闇から響くような、不気味な声で呟くように言うと、ミラジェーン……いや、魔人はエルフマンに襲い掛かった。
「グハッ……ね、姉、ちゃん……?」
「……」
吹き飛ばされて壁にぶつかったエルフマンは、衝撃で肺の中の空気を吐き出して咳き込みながらも狼狽え、魔人の様子を窺う。
視界が霞んでいたせいで、彼女の表情は分からなかったが、口元は三日月のような笑みを浮かべていた。
「(まさか、暴走してるのか?)ッ、止めてくれ、姉ちゃん! 俺だ……エルフマンだ!!」
でなければ彼女が家族を傷つけるはずがないと、エルフマンが魔人の凶行の理由をそう結
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