暁 〜小説投稿サイト〜
滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と女と唐突と
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 勿論個人差は有るので、鵜呑みにしない様に。



 入っては出て、入っては出てを繰り返し、やがて山となった包を抱えながら海童は目を細めて思った・・・こんなに沢山使わんだろ絶対、と。



「さて、ここが午前のラスイチじゃな」
「・・・ここは・・・!?」



 ビシッと指差した先にある店を、顔をずらして何とか視界に入れた海童は、思わず目を見開いてしまう。
 何せそこは男性には本格的に縁の無く、連れとしてもはいる事は無い筈の・・・ランジェリーショップだったからだ。



「ほれ行くぞ!」
「な・・・俺は男ですよ!」
「だからなんじゃ、つべこべ言わずについてこい」
「・・・くっ」


「姫神さん・・・!? 海童君を連れてなんてとこに・・・!?」
「は、ハワワワ・・・!?」
(何だか羨ましいぞ畜生! 大山の野郎っ!)



 店内には当然の事ながら女性用下着が多く、温泉で爺臭いと言われどもやっぱり男の子な海童は、必死に目のやり場を探してサングラスが掛けてある場所で目線を止めた。



「あら、コダマさん彼氏が居たなんてね?」
「そう見えたのならば節穴にも程があるぞ、キクエよ・・・っと、これにするか」
「試着してみる?」
「!?」
「うむ、そうじゃな・・・しかし今日は中々の収穫じゃの」
「新作の搬入、昨晩だったからね」



 試着のために無理矢理サングラスから目を外す事になり、プレゼントだけ見ながら足音を頼りにコダマへついて行く。

 カーテンで円形に仕切られた場所に付き、コダマが中へ入って行く途中で、店員が何やら可笑しそうに海童へ目を向けた。



「コダマさんの彼氏さん? 覗いちゃダメですからね?」
「彼氏じゃないと言うとろうが・・・カイドウ、覗くなよ」
「・・・分かってますよ」



 カーテンを閉め着替え始めたコダマに、海童は気になった事があったか声をかける。



「何故今日は俺を買い物なんかに?」
「使い勝手がよさそうじゃったからの」
(・・・オイ)



 その後無言の数分が続き、幾つか買い終えてからようやくランジェリーショップを後にした。神経を削りに削られたのか、海童の目つきは元から不機嫌に見えるというのに、今は本心も合わせて余計機嫌が悪く思えた。



「そろそろ昼餉の時間じゃな。ちょっと置くまで行くぞ」
「・・・美味しい店でも知っていると?」
「まあ飯はそこそこ美味いが、その店の本質はそこでは無いな」

「・・・何処に行く気だっての・・・」



 これまでの事で不満が結構溜まっていたか、呟かれた独り言は少しドスが利いている。


 コダマの言った通り大分奥まった場所まで海童は連
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