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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と女と唐突と
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を、植え込みの中からエセ探偵三人は見ていた。



「そういえば海童様、朝早く出て特訓されてましたから・・・」
「ここにきて一気に眠気が来たんすね」
「とにかく・・・このデート全力で阻―――監視しましょう!」
「「はい! 副会長!」」 




 幅の広い通路を挟んで店が立ち並び、通路上にはアーチ状の屋根がかかっている、何処かオシャレな道を、海童とコダマは歩いて行く。

 ガラス窓から見える商品の数々を見ていた海童は、ふと値段がかなり安いのに気が付いた。



「・・・異様に安いな」
「ここ天日は国が特区として認めた場所でな、物価や行政はおろか法まで本国とは違うのじゃ」
「まるでここが一つの国みたいですね」
「そうとも言える―――なっ!?」
「・・・はい?」



 奇妙な返しを受けて眉をひそめた海童が、何なんだと別の場所へ向けていた視線を戻す。そんな奇妙な声を上げたコダマは、ある場所のガラスケースに張り付いて息を荒くしていた。



「ここっ、これはまさか・・・本来ならば来週発売予定の、あのクマール社限定ベア『ハヅキちゃん』か!?」
(あのとか言われてわかるの、志那都先輩ぐらいだっての)
「値段もけしからん!実にけしからんのじゃ・・・っ、いくぞカイドウ! 迷う事など何もない!」
(・・・ぬいぐるみなんて何に使うんだよ、邪魔なだけだろうが・・・)



 流石に喜びで舞いあがっている人物へ本心など明かさず、黙ってコダマの後からドールショップ入って行く海童。


 結局件の『ハヅキちゃん』他ヒヨコだの兎だのを計五体も買って、二人は店を後にした。


 その後も、アクセサリーショップ、ファッション雑貨、よく分からない銘柄のブランド物の店などを回り、興奮してはコダマは勢いよく海童はゆっくり店に入り、目を付けたモノ以外もどんどん買っていく。



「ほぉ! これは新しい品じゃの!」
「はい、先週入荷したばかりでございます」
(何時使うんだ? そんな小さい物を)


「おお、これは中々・・・編み込みとフリルが素敵じゃの」
「この商品は職人の腕あってこそでして・・・」
(・・・丈夫なバッグ一つで事足りないか?)


「此方も良いが、うぅむ此方も捨てがたいのぉ・・・」
「ゆっくり選んでくださいね」
(どっちも同じだろうが、その服)



 一々心の中であっても愚痴らなければ行けない程、コダマの買い物は海童にとって理解できないものであった。

 ・・・ちなみに女性が服を選ぶのに時間がかかるのは、男性から見れば同じでも女性には色や造型の違いが細かく映り、少しずつながら違うものに見える為、ちょっとした違いを見分けて好みを選ぶから時間がかかるらしい。

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