彼と女と唐突と
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るのかなど、それはコダマに聞くしかない。
時計がすこし後ろにあるベンチに、深く腰掛け帽子を深くかぶって顔の上半分を隠している海童は、さっきから殆ど動いていないが何かあったのだろうか。
・・・だがそれよりも、大丈夫かと問いたくなる三人が植え込みの中にいた。
「本当に、やるんすか天谷先輩」
「二人は気にならないの? あの二人のデートが」
「そりゃ、勿論気になるっス! けど・・・」
「はい、取っても気になります、けど・・・」
「「何でこんな格好しているんですか?」」
その三人は春恋、イナホ、碓なのだが、まず植え込みの中にいる時点で問いたくなる。次に全員探偵ルックであり何でそんな格好していると問いたくなる。
本人達は隠れているつもりだろうが、所々植え込みからはみ出しており、気配が隠し切れていない事も合わせて、どこからどう見ても怪しい三人組であった。
「昔から尾行するなら探偵ルックだって相場が決まっているのよ」
「この季節にコートは暑いです・・・」
「なんと言うか、ずれているというか・・・」
「待たせたの」
「「「来たっ・・・!」」」
まだ文句や其の他もろもろ言いたかった二人だったが、お目当ての人物が来た事で息をひそめる事に集中した。
コダマはかなりめかし込んでおり、ゴスロリ風のそのファッションは碓が前上げていた、彼女の魅力の内の“可愛さ”を引き立てている。
「姫神さん・・・かなりの気合いの入りよう・・・!?」
「可愛いなぁ、流石姫神先輩だぁ」
「ほ、ホントに不味いかもしれないですっ・・・!」
疎らに居る人達も、彼女に思わず視線が行ってしまう程、今日のコダマはより一層美少女ぶりに磨きがかかっている。
・・・だというのに、海童は座ったまま反応を見せない。声を掛けたのに返事しない事を訝しんだコダマは、更に一歩近づいて・・・反応見せない原因に気が付く。
「おい、どうした?」
「・・・・・・」
「・・・む?」
「すぅ・・・すぅ・・・」
「こやつっ・・・!?」
そう、海童は思いっきり寝ていたのだ。寝ているのなら下手に呼んだ所で、返答も反応も無い事など当たり前である。
「起きんか!!」
「いっ!?」
頭を思い切りたたかれてようやく目を覚まし、目の前にいるコダマを見て海童は呟いた。
「・・・何でここに居るんですか」
「ワシと待ち合わせしとったじゃろうが!」
「・・・あ」
「あ、じゃないわ! 全く・・・!」
寝ている間にすっ飛んだ記憶をどうにか戻して、海童は立ち上がり歩いて行くコダマの後に続く。そんな二人
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