ちょっとした一日
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持ってって構わねえぞ。どうせ売れねえから」
そう、この秋生さんという人は本人を前にしてもたまに本音を言ってしまう。確かに早苗さんのパンが売れているのを俺はあまり、というか全く見たことがないがそんなことを本人に言ってしまうと…
「私のパンは、私のパンは古河パンのお荷物だったんですね〜!」
と言いながら店を飛び出してしまった。こうなるのは予想の範囲内で次に秋生さんが…
「俺は大好きだ〜!!」
と言いながら早苗さんのパンを何個も口に頬張り早苗さんを追いかける。5年前と全く変わっていなかった。
しかし困ったことになった。店の人が2人ともいなくなると俺はパンを買うことが出来ないのだが…
「しかも早苗さんのパンを買っていってどんな反応をするか見たかったのだが秋生さんが何個も咥えていくから6個しか残ってない」
先程秋生さんが咥えていったパンはカレーうどんパンなるものらしく名前からして恐らくカレーうどんが入っているのだろう。
「パンとうどんって炭水化物と炭水化物かよ」
しかし炭水化物同士というのを除けば意外と美味そうなパンではある気がする。気のせいだろうか?
「あれ、お店に誰かいます」
「オイオイ、客ほっぽっておっさんは何やってんだ?」
これからどうしようかと思っていると学校の制服を着た少年と少女が店に入って来た。少年の方は見覚えがないが少女の方は見覚えが有る。
「もしかして渚ちゃん?」
「ほへ?えっと…」
「あ〜、俺のこと覚えてないかな、5年前までよくこの店に来てた南春翔だよ」
「…は、春翔さんですか!?お久しぶりです!」
「南春翔!?南春翔ってあの!?」
名前を言うと渚ちゃんは思い出してもらえたようだ。少年には驚かれたけど。
「あ〜、まぁ一応5年前までアイドルやってた南春翔だよ」
「す、スゲエ…本物」
「今日はパンを買いにこられたんですか?」
「そうなんだけど秋生さんたちがどっかに飛び出して行っちゃって…」
それを聞くと渚ちゃんは苦笑を浮かべ少年は頭を抱えていた。そういえば少年の名前を聞いてないな。
「名前を聞いてもいいかな?」
「え、ああ、岡崎朋也です」
「岡崎君か…しかし渚ちゃんもお年頃だねぇボーイフレンドまでできちゃって」
「お、岡崎さんはそ、そんなのじゃ、ありません!」
手をわたわたと振りながら渚ちゃんが否定する。まあ、顔を見るあたり満更でもなさそうだがそんなに否定すると岡崎君もへこむぞ?ほら、微妙に辛そうな顔してる。
「でもまあ、渚ちゃんが戻ってきたし渚ちゃんに会計してもらおうかな」
「はい、任せてください!」
というわけでカレーうどんパンなるものを6個と普通のカレーパンを8個購入して事務所へと帰る。形はほとんど変わら
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