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ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
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プロローグ 郷愁の日々 その参
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 恐らく警察は茅場晶彦の潜伏先を探すことになる。これなら警察の得意分野だから成功する確率はある。いや、しかし茅場晶彦を見つけることはできないのではないだろうか?茅場晶彦を探す唯一の手がかりは絶対に開けてはならないブラックボックスの中――アーガスのコンピュータの中――だ。逆探知はできないだろう。そこは警察よりも茅場のほうが一日の長がある。となると地道な虱潰しの捜索になる。
 それに茅場が日本に居るとは限らない。逆探知不可の管理者専用ナーヴギアのようなものを持って海外で活動するかもしれない。
 考えれば考えるほどイタチごっこで『そんなこと茅場が考えないはずがない』という結論が最終的に浮上する。

 それを踏まえ、かなりの確率で起こりうる≪最悪の事態≫である≪サービス続行≫の対処のため、死なない程度のレベリングと攻略が必要だ。

 これは、誰でもゆっくり考えれば辿り着く結論。この結論の証拠は明瞭。いまだ俺たちがログアウトできていないこと。
 外部からの救出は、有り得ない、といえるだろう。

 思考を一旦中断させて周囲を確認する。周りの人たちはどうしているのか、それがなんとなく気になった。

 広場はチュートリアル時と違い、数多のプレイヤーがその場に座り込んで、現状を嘆いている。すすり泣くような声や唸るような呪詛の言葉が、始まりの街の広大な広場に、重たく冷たい雰囲気を生み出していた。
 そんな中、幾人のプレイヤーがその場を離れていった。何処にいくのだろう、と思ったがすぐに得心した。

 狩りだ。奴らも俺と同じで、攻略に立ち上がったのだ。

 そして、フレンド達のことを思い出す。

 そうだ、キリトとクラインは。そこまで思い、俺は周囲を見渡す。そこには手鏡により顔を変えられた人々で埋め尽くされている。

 おそらく、キリト達はすぐにでも攻略の為に動く。この推察はキリトがβテスターだからという理由からではなく、キリトが俺と同じかなりのMMO中毒者だという確信があるからだ。行動は恐らく、今、最速で、だろう。キリト達も俺と同じように、始まりの街周辺のモンスターはすぐに枯渇するという推測、もといジンクスは知っているはずだ。どのMMOでもそれは当然の現象だった。
 それだけではない。もしかしたらキリトはβの知識を活かして、最も効率の良い狩場に直行しているかもしれない。
 俺はまずフレンジーボアあたりの弱いモンスターを狩りレベルを上げながら、ゆっくりと行動範囲を広げるつもりだから狩場でバッタリ、なんてのは期待できないだろう。

 つまり、今、キリト達を見つけなければ合流は不可能だ。しかし。

「だけど……こんなんじゃあ、わかんねぇな」

 始まりの街の広場には似たような日本人顔、しかもその九割近くが男。この中から顔の分から
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