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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と歓迎会・・・と黒い影
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五月蠅くてかなわんといった感じで顔をしかめ、碓はやっぱり男の子か魅惑の会話で何やら妄想している。



「くぅっ・・・見るなというのならそれ相応の態度というモノがあるだろうにこの会話っ・・・もう我慢の限界だっ!」
「やめておけ、どうせ眼潰しかまされるだけ―――――ん?」


 海童が止めておけと言いかけた・・・その時、ガサリと言う音を聞き何事かと目線をそちらへ向けると、何やら黒い影がのそりと木陰から出てきているのが見えた。

 太い四本の足、まるい耳、特徴的な顔、胸の月の様な白い模様・・・まず間違いなく―――


「グルルゥゥゥ・・・」

「熊か!!」
「えぇ!? クマぁーっ!?」
「・・・丁度良いな」

「何ですって?」
「クマが居たみたいよ」
「クマ!?」
「クマじゃと!」



 碓の叫び声で女子達も気付いたか、大岩の周りに集まってくる。・・・一部の、嬉しそうな声を聞いたのは気のせいだろうか。



「ちょ、ちょちょっ、ああそこにクマが!!」
「アレは・・・ツキノワグマですわね。個体的に見てかなりの体躯ですわ」
「パンダやないの? 湯かければオッサンに戻るやろ」
「・・・近くに美少女や黒豚が居たりして・・・」
「もしかして報告された黒い影ってクマなの?」



 一同いきなり登場したクマに驚く中、海童は腕を後ろに振りかぶって、クマへ向かって走り出している。
 もしかしなくとも、衝撃波を叩き込むつもりだ。



「弱肉強食だ、悪く思うな! 『裂し―――」
「駄目じゃーっ!? 傷付けて追い返すなどとんでもないっ!」
「うおぉっ!?」
「そうだぞ! クマだぞ! テ○ィがついたらとんでもないんだぞっ!」



 しかし、嬉しそうな声を上げていた一部の人間であろうコダマとアズキに組み付かれ、衝撃波は実質的に不発で終わってしまう。



「なっ、放してくださいって先輩!!」
「嫌じゃ! 力で無理矢理追い返すなど可哀そうじゃ!」
「そうだそうだっ!」

「はぁ・・・つまり力で無理矢理追い返さなきゃいい訳ですわね」
「で、でもそれって結構無茶じゃ・・・」
「大丈夫やってハルコ。無茶でもやり遂げるんがウチら『マケンキ』やろ」
「・・・そうね!」



 それから短く作戦をまとめ終え、春恋は竹刀を手にしチャチャは木の板の位置部を圧し折った。



「全く、足滑って地面にぶつかってたらどうしたんだっての」
「お前羨ましいぞこの野郎!! 姫神先輩に抱きついて貰えるなんて!!」
「俺としては不発にさせられていい迷惑なんだよ!!」



 ようやくコダマとアズキから解放された海童は、凄い勢いで駆け寄ってきて羨ましそうに言う碓へ、行き
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