第五章 楽園
第5話 都市伝説
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をあなたには任せられない」
十香「ぐぬぬ……せ、世話なら私一人で充分だ!あ、汗だって拭いてやったのだぞ!!」
十香がそう宣言すると同時に、クラス中がざわめいた。
士道「お、おい十香!」
現場を目撃した俺は特に驚いた表情はしていなかった。
すると、クラスの数人(いや、ほぼ全員か?)が俺のところにやってきた。
「ね、ねぇ上条くん。十香ちゃんが言ってることって本当?」
士道と同棲していることを知っているクラスの皆から質問を受けた。
上条「事実だけ言うと、十香の言っていることは正しいですよ」
その時、女子の悲鳴と男子の絶叫がクラス中に響いた。
士道「お、おい上条ッ!!」
上条「何を焦ってるんだ?上条さんの言っていることに間違いはないだろ?」
士道「で、でもよぉ!」
そして、士道にさらに追い打ちをかける一言が十香の口から告げられた。
十香「ふふふ……私はな、士道の身体を隅々まで拭いてあげたのだ!」
その刹那、
先ほどより大きい女子の悲鳴と男子の絶叫(+嫉妬の声)が俺の耳に嫌というほど伝わった。
殿町が士道に話しかけにいったが、折紙と十香はそれを見計らったように教室を駆け足で出て行った。
恐らく食堂へ向かったのだろう。
殿町の存在意義って……
それは置いといて、どうやら士道も食堂へ向かうようだ。
ちなみに俺は今日、自分で作った弁当があるから食堂などには行かない。移動も面倒くさいしな。
凜袮は……ん?凜袮の後ろにランチボックスが二つある……ってことは……
士道「もしかして先約があったのか?そりゃ悪いことしちまったな……」
士道もそれに気づいたのか、そんなことを言った。
いやいや、どう考えても士道のためだろうが。
凜袮「え?う、ううん!き、気にしないで……でも、ごめんね……?」
凜袮さん……あんた、優しすぎるよ。
士道はそんな凜袮を少し気にしていたが折紙と十香と一緒に食堂へと向かった。
俺はそこで立ち尽くしている凜袮に話しかけた。
上条「どうした凜袮?」
凜袮「当麻……」
上条「……ッ!?」
凜袮が振り向いた時の顔は、今にも泣きそうな顔をしていた。
凜袮「私……どうしよう……」
上条「え……?」
凜袮「士道のためにって思って、やったのに……逆に迷惑かけちゃってるし……」
声もいつもの凜袮とは違い、かなり弱々しかった。
俺はそんな凜袮の頭に手をポンと乗せて軽く撫でた。
上条「そんな顔してると、また士道に迷惑かけちまう。笑えよ凜袮。俺は笑ってる凜袮の方が好きだからさ」
凜袮はこの時の上条の優しい微笑みが、なんだかとても温かかった。
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