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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼の失敗
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けど・・・在校生には訝しがられるだろうし、新入生も時間が経てば怪しむだろうってのは明白なのよ。何せあんなバカでかい破壊を起こしておいて、なのにエレメント皆無だからね」
「・・・」
「内蔵型マケンと誤魔化すにも限界があるし、特性をすぐに判明して何でもいいから埋め込まないと」



 たった一発で何人も吹き飛ばす力なのに、エレメントが無いなど天日学園の者達からしてみれば “異質” 以外の何でもない。

 実の言葉へ更に付け加えるならば、そこまでの破壊力を持ってしてまだ扱いが未熟+成長途上だという事実もある。



「それにね、もっと困るのは自衛なのよ。この学園、天日学園は生徒の学園・・・それを実現する為に自由な校風を大切にしている・・・んだけど、その所為でトラブルが絶えないって訳。マケン絡みのイザコザや『決闘』もしょっちゅう起こるしね」
「プはっ! ・・・息の根止める気かお前は!?」



 如何やら今口へふたされていた事から解放されたらしい玄は息を荒くして実に抗議する。すまんすまんといった感じで手を振る実へ、今度はイナホが元気良く手と声を上げた。



「ハイハーイ! 『決闘』はお互いの同意が無ければ執行不可能だと聞きました! だから、断ればいいのではないですか?」
「・・・いや、決闘はそれでいいだろうが・・・世の中決闘で済ませてくれる奴ばかりじゃないだろ」
「お、意外と鋭いな、その通りだ海童。力を持てばそれがたとえ戦闘向きであろうとなかろうと、派手だろうと地味であろうと、やっぱり使いたくなるのが人の性。決闘無し襲ってくる輩も居るのよね」



 実はそこで一呼吸置き、笑顔から再び真剣な表情へと戻して話しだす。



「まあ、お前のその『力』なら撃退なんて容易だろうが・・・同時にその破壊力から、襲った者は勿論見ていた者達からも避けられてしまう結果を生むかもしれない」

「・・・! 確かに・・・」

「私たちだって孤立する生徒を作りたくないしな」

「なるほど、だから海童様の特性が判断できないのは問題なのですね」



 先程も言ったが海童は身体能力、特殊能力共にまだまだ未熟で、特に特殊能力はスタートラインに立ったばかり。
 そんな状態でトラブルに対応すれば、未熟な為に思わぬ事件を引き起こす可能性もある。そうなれば後からどれだけ力をコントロール出来るようになろうと、植えつけられたイメージを払拭して塗り替えるのは困難だ。



「玄! ・・・この子のマケン、どれぐらいで作れる?」
「データは揃ってんだ、一か月もあれば充分。天才をなめんなよ!」
「・・・まあ、0スタートからだから1か月は結構速いけど・・・でも一か月かぁ・・・」
「う、評価されてっから突っ込みにくい・・・
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