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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第9話 「武の王、立つ」
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『後は・・・。』
アリーナの壁に激突したセシリアを追撃するため加速する零。セシリアはギリギリまで彼を引き寄せた上でスカートアーマーのミサイル発射管からミサイルを発射した。
『行動パターンが単純すぎんだよ、お前は。』
この展開を予想していた零は無駄な回避行動をせずにミサイルの軌道を限定し、動きを完璧に予測して斬り伏せた。その後、背後の爆風を利用して更に加速、壁際に座り込むセシリアの懐に入り込みミサイル発射管を叩き斬った。
『そ、そんな・・・。』
『オラ、武装まだ残ってんだろ。さっさ抵抗しやがれ。』
零はセシリアを見下ろしたまま『天羽々斬』を振り上げる。セシリアは覚悟を決めて最後の装備である近接ショートブレード『インターセプター』を展開するが展開方法も構えも素人同然だった。
『そんな体たらくで俺に勝てると思ってんのか?』
零は容赦なく『天羽々斬』を振るう。セシリアも必死に抵抗するが所詮は付け焼き刃、30秒もかからずに『インターセプター』はセシリアの手元から弾き飛ばされ地面に転がった。
『ノルマ完了っと。ちゃちゃっと終わらせるか。』
武器を全て無力化されたセシリアにはもう為す術がない。瞬く間に《ブルー・ティアーズ》のシールドエネルギーは底をつき、試合終了のブザーがアリーナに鳴り響いた。
『なかなか楽しかったぜ、オルコット。良い運動になった。これからはもっと精進して訓練に励むことだ。じゃあな。』
『・・・こんな強さ、あり得ませんわ。貴方、一体何者ですの?』
セシリアの質問に対して、零は笑顔で答える。そこには今までのような狂気は微塵も感じられず、如何にも満足げな爽やかな笑顔だった。
『さあな。俺にも分からん。』
そう言い残して零はピットへ翔び去っていった。その背中は心なしか少し寂しげだった。
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