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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第9話 「武の王、立つ」
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の者として今までの非礼をお詫びしたいと思いまして・・・。』
『・・・殊勝なことだ。一夏に礼を言わないとな。』

(一夏との試合の後、態度が急変した。大方、一夏との戦いで何か感じたんだろう。)

一夏は他人と分かり合うことに長けている。一夏のお人好しな性格に他人は惹かれ、彼の横に立つ。零は自分にはないその天性に心底敬意を表した。

『ところでオルコット、ここにコインがある。』

彼は右腕の装甲を部分解除していた。右手に握っていたのは表も裏も分からない柄のないコイン。ただ、片面が黒、もう一方の面が白に塗られていた。

『今から俺がコイントスをする。表になった色でお前の運命が決まるから覚悟しておくといい。』
『はい?一体何を仰ってますの?』

すぐに分かる、とセシリアを制した零は宣言通りコイントスを行う。表になった色は・・・、

『・・・黒か。』

彼はコインをピットの方に投げ捨てると、右腕の装甲を再展開した。セシリアは彼の行動の真意を問い質そうと口を開きかけるが、彼の表情を目にして戦慄した。

『・・・オルコット、余計なことは考えるな。ここは戦場だ。早く戦おうぜ。』

彼の顔には笑顔が浮かんでいた。ただ、普通の笑顔ではない。底知れぬ狂気と殺意を孕んだ、それでいて純粋に楽しそうな笑顔。早く戦いたいという意志がひしひしと伝わってくる戦闘狂の笑顔だった。

『試合を開始してください。』

アリーナに試合開始のブザーが鳴り響いた。セシリアは『スターライトmk-III』を構え射撃体勢に移行するが、零は棒立ちのまま静かに笑っていた。

『ははは、良いねえ。この緊張感、この感覚、実に楽しい。さて、おっぱじめるか・・・『素戔嗚』。』

彼の言葉が終わると同時に、彼の背に漆黒の翼が展開された。その黒色のウィングスラスターに呼応するかのように、機体色もまた漆黒に変わる。

『パッケージの換装?しかし、機体色の変化は一体・・・?』
『面白いだろう?束さんの餞別だ。お気に入りなんだよ、これ。』

彼は右手に日本刀型の近接特化ブレードを展開する。銘を『天羽々斬』、日本神話の素戔嗚尊が八岐大蛇を退治する際に用いた剣の名だ。

『さあ、始めよう。時間がないんだ。ちったあ楽しませてくれよ、代表候補生さんよぉ!』

その言葉が終わるや否や、ドンッという空気を震わす轟音が響く。その音がセシリアに届くのとほぼ同時に零はセシリアの目の前に接近し『天羽々斬』を横一閃に振るう。

『はっ、速い!?』

セシリアは後ろに回転して斬撃を回避する。セシリアが音を認識するのと同時に零がセシリアの位置に到着したということは、零は一瞬で音速以上のスピードに加速したということだ。《武神》の規格外の機動性に驚く間もなく、零の踵落としがセ
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