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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第9話 「武の王、立つ」
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見つめている。

「千冬さんに稽古をつけてもらった時に賭けをしたのさ。」
「え?千冬姉の稽古?」

一夏は驚いた様子で口を開く。零はそんな一夏の反応は意に介さずに淡々と言葉を続ける。

「お前が箒と剣道三昧やってた後にな。その時にある条件付きで五本勝負をやったんだ。」
「条件?」

今度は箒が聞き返してきた。一夏同様、興味津々な様子だ。

「勝ち越した方が負けた方に1つ命令ができる。ただし、俺は勝負の勝敗に関係なく勝った数だけ千冬さんに頼み事ができる。これが条件の内容だ。」

今度は白式の調整を始めた零は更に説明を続ける。相変わらず目線はディスプレイに固定されており手は物凄いスピードでキーボードを叩き続けている。

「結果は俺の1勝4敗で千冬さんの勝ち越し。そこで出された指示があれだ。」

零は千冬が手で弄んでいる紙片を指差す。

「千冬さんの命令は今回の試合で俺に一定のノルマを課し、ノルマのクリアを勝利の絶対条件とすること。あの紙にはノルマの内容が書いてあったんだよ。」
「へえ。で、ノルマって一体・・・」
「神裂、時間だ。準備しろ。」

一夏の言葉を遮るように千冬が口を開く。上空には既にオルコットがISを展開して待機している。零は専用機《武神》を展開してカタパルトに歩み寄る。

「零のIS、なんか小さくないか?」

灰色のISを身に纏った零を見て一夏が不思議そうに口を開く。確かに《白式》と比べると少々華奢な印象を受ける。非固定浮遊部位(アンロックユニット)もない。

「機動性を優先して可能な限り装甲を削ってるんだ。非固定浮遊部位はまだ展開していないだけ。まあすぐに分かるさ。」

零はカタパルトに機体を固定すると、深呼吸をして一夏たちの方を振り向く。

「じゃあ行ってくる。」
「おう。勝ってこいよ。まあ零なら大丈夫だろうけどさ。」
「頑張ってこい、零。一夏の二の舞にはなるな。」
「さっさと片付けてこい、神裂。ノルマは果たせよ。」

それぞれの応援を背に受けて、武の王と化した神裂 零は空へと翔び立った。




『よう、オルコット。元気ないな。いつもの威勢はどうした?』

零は上空でセシリアと対峙する。彼は戦闘前に何か嫌味の1つでも言われると考えていたのだが、セシリアは何事かを思案しているように俯いている。

『いえ、その・・・、わたくしは少々あなた方を侮りすぎていたのではないかと思いまして・・・。』
『・・・は?』

あまりにしおらしくなったセシリアの様子に零を始め、一夏や箒まで驚いていた。今までの言動を顧みる限り、セシリアがそのような発言をすることなど考えつかなかったのだ。

『その・・・、先程の試合で自分の未熟さを痛感いたしましたし、誇り高き英国貴族
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