第17話 いろいろな嵐
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ナは、ようやく手を下ろすと、大きく一つ溜息をついてから俺を見上げて言った。
「ねぇ、ヴィク兄ちゃん。フレデリカのこと、どう思う?」
「どう思うって……どういうことだ?」
「ん〜なんていうか……」
言いにくそうにしているアントニナの視線が玄関先に向いているのを見て、俺はレーナ叔母さんに視線でアントニナのことを示す。叔母さんはすぐに察してラリサと一緒に家の中へと戻っていってくれた。その動きにアントニナは『ありがと』と呟いた後、いつも定番の散水栓に腰を下ろして続けた。
「フレデリカ、美人でしょ」
「お前ほどじゃないと思うが」
「お世辞でもありがと。だけど学校でちょっと浮いてるんだ、あの子」
お世辞のつもりは一切なかったが、若干影のある顔で、長く細い足をプラプラしているアントニナを見れば少しばかり真面目な話だとわかる。だが正直前世でコミュ障だった俺に、小学生の学内生活相談をされても、まともな答えを出すことは出来ない。
「……少し大人びているな。確かに」
「うん。それで女の子グループから敬遠されてるし、男の子グループからも距離を置かれてる。今のところ僕が一緒にいるから何とかなってるけど……」
「お母さんが病気がちだからな。背負うものが両親健在の子達とは違う。しかも父親があのグリーンヒル少将だ。その当たりを知ってあえて近寄らない子もいるだろう」
「第三艦隊でお父さんを亡くした子もクラスにはいるんだよ……」
「……そういうこともあるだろう。グレゴリー叔父さんだってかなりの数の味方を『殺している』。だからといってアントニナ、お前がクラスで浮いているワケじゃないだろう?」
「でも……」
「あの子は学校では『大人しい』のか?」
俺の問いに、アントニナは小さく頷いた。
「そうか、自分を抑えている処があるワケか……だったらアントニナ、その分厚そうな猫の皮剥いでやれ」
「は?」
「父親の職業で喧嘩するなんてジュニアスクールじゃよくあることだろ。ハイスクールにまでなってやっているようじゃ心的成長を疑うが。徹底的にやれ。大いに喧嘩して殴り合え。ただし絶対に陰湿にはやるなよ。それこそ教師が仲裁に入るくらい派手に暴れろ」
「ちょ、わけわからないよ!!」
「お前の本音を彼女に直接ぶつければいい。挑発する機会を逃すな。そしてお前から先に手を出せ。彼女が大声を上げてクラス中に本音をぶちまけるようにな」
俺の過激な案に、アントニナはしばらく呆然と俺を見つめていた。夕日が沈みかけ、その最期の輝きがアントニナのブロンドを紅茶色に染め上げる。やはりお世辞抜きに俺の義妹は美人だ。その美人が数分してようやく納得してから笑みを浮かべた。
「ヴィク兄ちゃんは過激だね。失敗するかもしれないのに」
「義妹が一番大事だ。正直相手がどうなろう
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