第17話 いろいろな嵐
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の時々向こうの家に行ったり、遊びに来たりするのよ」
キッチンから聞こえてくるレーナ叔母さんの声は軽く浮かれている。
「ウェーヴのかかった金褐色の髪とヘイゼルの瞳の調和が取れた凄い美少女でね。ほらアントニナは肌が私にて薄茶色にストレートのブロンドでしょ? だから一緒にいると色違いの対称が取れていて、見てるだけでうっとりするわよ」
「へぇ……アントニナの同級生なんだ」
なんだろうか……すごく嫌な胸騒ぎがする。
「そう。でもちょっと大人びているかしら。お母さんが少し病気がちで、入退院しているらしいの。それが原因かもしれないわね。あ、それと頭は凄く良いわよ。一度覚えたことは忘れないみたいで、学校の成績もトップみたい。イロナは随分と尊敬しているわ」
「ふ〜ん……叔母さん。俺、昼食終わったら外でていいかな?」
もはや俺の心の警告灯は真っ赤に染まり、サイレンがガンガンと鳴り響いている。冗談ではない。父親が少将? 金褐色の髪? ヘイゼルの瞳? 母親が病気がち? 記憶力抜群? 満貫じゃないか!!
「それはいいけど……せっかくだからその子とじっくり話していきなさいよ。あんまり低年齢の子に興味を持ってしまうのはどうかと思うけど、その歳にもなって浮いた話一つ聞かないなんて、軍人だとしてもどうかと思うわよ?」
「いやいや。仕事が忙しくて、そんなヒマありません」
「時間は作るものですよ。まったく。そんなんじゃ私、エレーナに顔向け出来ないじゃない」
「は、ははは」
頭を掻いてごまかすしかなかった。だが、嵐はすぐそこまでやってきていた。
「ただいま、お母さん!!」
「おじゃまします」
「お帰りなさい。手を洗ってきてね。すぐ昼ご飯にするから」
「「は〜い」」
アントニナの突き抜けるような明るい声の後にある、張りはあるのにそこはかとなく威圧感のある声が続く。正直、その声まで似て欲しくはなかった。顔を覆いたいぐらいだ。
「ヴィク兄ちゃん、おはよ」
「お、おう。朝早かったのか?」
「フライングボールの朝練もあってさ。あ、ヴィク兄ちゃんは初めてだっけ?」
「な、にが?」
「この子。フレデリカ=グリーンヒルって言うの。フレデリカ、この人がいつも僕の言ってるヴィクトール兄ちゃん」
俺の顔を見て、その子……後の不敗の魔術師の副官にして妻(ただし一一歳の)の顔も引き攣っている。確かにその顔には見覚えがある。あの時、空港地下のホームで痴漢野郎呼ばわりしたあの美少女。向こうもこちらがあの時の『痴漢野郎』だと分かって引き攣っているようだった。
「……初めてお目にかかります。ドワイド=グリーンヒルの娘で、フレデリカと申します。ヴィクトール少尉のお話は、妹さんからも父からも伺っております」
「……いつも妹がお世話になっていま
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