2ndA‘s編
第十二話〜歩み寄る結末〜
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ては破格の才能を有しています。戦力として――――』
「そういうことを言っているんじゃない!」
どこか焦りを含んでいる彼女の言葉を遮り、路地裏に怒号が響いた。
「子供を戦場に送ることが今の最善なのか?!そんな事を続ける世界が正しいと本気で思っているのか?!」
冷静さをかなぐり捨てた言葉。それは虚しくも、路地裏の静粛さを際立たせるだけだ。
言葉を吐き出しながら、ライの脳裏には自分が築いた歴史を思い出してしまっていた。
子供も大人も男も女も関係なく戦場に向かう狂気の光景。それをたった一言の命令で成してしまった自分。
今のリンディと言う女性は当時の自分をひどく思い起こさせる存在であった。
感情が道徳的な理由からリンディの言葉に怒りを覚えるのと同じく、別の考えもライの中には存在した。
このまま『才能があるのであれば子供も利用する』という事例を繰り返すことは、人としての重要な物を失くした社会が出来上がるのではないかと言う懸念である。
子供には子供の意思が存在し、それを大人が理解できないときは少なからず存在する。だが、子供は大人と比べ出来ることも行動の基盤となる知識も圧倒的に不足しており、更に言えば大人は柵が多い分責任を取る方法を知っているのだ。しかし子供はそれを学ぶ側であり、それを行う側ではないとライは考えていた。
「…………彼女たちに事情があるのなら僕は何も文句は言わない。だけど、ただの戦力として彼女たちのことを考えているのであればこれ以上干渉してくるな。迷惑だ」
相手からの返事を聞かず、再び足を動かし始めるライ。
動き始めることで少しでも冷静さを取り戻そうとしているライであったが、身体に溜まった熱は吐き出される事はなかった。
「少し無茶をする。フォローを頼む、蒼月」
「イエス マイ ロード」
相方からの了承の言葉に背中を押してもらい、ライは動かす足を早くする。
『―――――――――プログラム構築―――――――――セイフティ設定―――――――――――コンプリートまで14分51秒』
その言葉は確かにライの脳裏に響いた。
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