暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
第十二話〜歩み寄る結末〜
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リンカーコアでは最適化が行われる。その最適化とは、魔力運用における術式の保存である。
 使用された魔法の術式は魔導師の持つデバイスに元々登録されている。だが、リンカーコア内にも使用された魔法術式の保存――――この場合はバックアップを取られ、魔力の運用を行う上で次回同じ魔法を使用する際に、より円滑にしようとするのである。
 もちろん、これは微々たるものでしかなく魔導師本人も「使い慣れた」程度にしか感じないことではあるのだが、この機能により確かにリンカーコアの内部に魔法術式は保存される。
 そして話は夜天の書の蒐集に戻る。
 書は蒐集の際にリンカーコア内に保存されているバックアップデータを、魔力を媒介に記録しているのである。言うなれば、魔力はインク、夜天の書は写本、リンカーコア内のバックアップは原本といった具合である。
 最後に、なのは達の蒐集による負傷の具合が軽いのは、二人の直前にライが蒐集を受けた為である。今現在、ライはCの世界から魔力の補給を行っている。その為、常時Cの世界との回線を繋いだ状態なのだ。そしてCの世界に存在するのは、何も集合無意識だけではない。
 過去に記録された様々な情報、それこそ古代ベルカ式や近代ミッドチルダ式の術式も当然のように存在する。ライがこの世界に肉体を持ってこの世界に来ることができたのも、そうした情報の恩恵があればこそであったのだから。
 話を戻すと、ライが蒐集される際にそうしたCの世界内に存在した術式を書は根こそぎ持っていこうとした。その量は膨大という言葉では到底足りない――――それこそ量といった括りを使うのが間違っている程のデータである為、一般の魔導師とは比べ物にならない程に書のページを埋めることができたのだ。
 そう言った要因が存在した為に、途中で強制的に中断されたとは言えほぼ完成間近にまで蒐集を完了させた夜天の書は残りの不足分をそこまで必要としていなかった為、なのはやフェイトが受けた蒐集による被害は他の被害者と比べて軽いものになったのだ。

閑話休題

 リンディからの報告はライにとってある意味では吉報ではあるが、同時に凶報でもある。ライにとって今欠けている要素である、熟練の魔導師。それは戦闘を行うにしろ、書に対してハッキングを行うにしても必要な物であるのだから。
 しかし、それはほとんど死地に近いこの空間に未だ幼い少女を連れ出し、剰え最前線で戦えと言わなければならないのだ。
 例え、それで事態が好転したとしても、この行いが『正しい事』として認識されてしまうのはどうしようもない不快感をライにもたらした。

「……彼女たちに戦えというのか?」

 声が出てきた喉の更に奥、腹の底に確かな熱を感じながら、ライは今自分がどんな顔をしているのか分からなかった。

『彼女たちは、共に魔導師とし
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