2ndA‘s編
第十二話〜歩み寄る結末〜
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海鳴市
日が落ち始め、曇天により鬱屈とした暗さと雰囲気が街を満たしている。
そんな街は今、結界で覆われ人が特定の人間以外が存在しない空間となっている。といっても、真っ当な意味での人間はその空間には存在していなかった。
ビルとビルの隙間から強い光が断続的に瞬く。その光が止むと、ある時は煙、ある時は瓦礫が宙を舞う。
そして今度は――――
「――――――――ッア!?」
――――人が舞った。
砲弾のようにほぼ水平に弾け飛ぶライは、二、三度地面にその身体を打ち付けながらも何とか体勢を立て直そうとする。
「――まれ!!」
既に口からまともに声が発せているのかどうかも、本人には確認のしようがない。
そんな中、両手両足を地面に擦り付け嫌な音と熱を文字通り肌で感じながら、四足獣のような格好でライは飛ばされた勢いを減衰させて行き、なんとか止まる事に成功する。
「ハァ!ハァ!」
身体が酸素を求め、呼吸が自然と荒くなる。しかし、既に渇ききっていた喉に冬の外気は痛みしか伝えてこないため、一息つける安堵感よりも不快感の方が大きかった。
そんな自己の感性を押し込めながら、空を仰ぐように首を上げる。
そして首を上げた先――――ライの視線の先には、未だに蛇に包まれた夜天の書の姿があった。
空中に浮かび、どこかこちらを見下ろしてくるように感じるその存在は、管制人格に飲まれた時よりも一回り大きな形になっていた。そして変わったのは大きさだけでなく、その形が卵を連想させる楕円球に変化していた。
一方で、ライの方はバリアジャケットがボロボロになり、むき出しの顔や髪に煤や埃が付着し、その特徴的な銀髪がどこかくすんでいる。
(甘く見ていた!)
内心で少し前の自分を罵倒し歯噛みしながらも、夜天の書から視線を外す事だけはせずに立ち上がる。
管制人格が取り込まれてから、ライはまず夜天の書へのハッキングを行おうとした。元々、夜天の書は外部からの干渉を行われた場合、主を取り込み転生する機能が存在する。しかし、書の完成が既に決定した今だからこそ付け入る隙が、システム上存在すると考えたのだ。
だが、その考えは文字通り粉砕されてしまう。
夜天の書へのアクセスは物理的にライが書に接触する必要がある。流石に外部から電波を飛ばしてアクセするには、それ専用のコードが必要となるからだ。その為、魔力で足場を形成し、跳びながら近付こうとするライであったのだが――――
(これまで蒐集した射撃魔法及び広域系の魔法の全てを全方向に斉射、そこからの連続行使なんて――――)
その壁とも津波とも言える弾幕を思い出し、少しだけ身震いしながらこれからどうするのかを考えていく。だがしかし、現状魔導師としての自分が一流や
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