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ロード・オブ・白御前
オーバーロード編
第17話 一度は信じたから A
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 翻弄。それが最も正しい言葉だった。

 シグルドが放ったソニックアローも、一矢もロシュオに届かない。ロシュオの掌から発される圧力に、シグルドは成す術もなく右へ左へ転がされている。

 圧力に負けてチェリーのエナジーロックシードが、ゲネシスドライバーが壊れる。それでもシドは止まろうとはしなかった。

「俺は誰の言いなりにもならねえ!! もう二度とナメた口は利かせねえ!! 俺は――人間を、超えるんだぁぁぁぁぁ!!!!」

 シドの叫びは、無策だというのに、貴虎が飛び出しそうになるほどの力があって。

『兄さん!』

 龍玄が後ろから貴虎を押さえると同時、シドが吹き飛ばされて、割れた岩壁の間に放り込まれた。

『どうして兄さんはそうなんだよ! あの男は兄さんを裏切ったんだろ!? だったらほっとけばいいじゃないか!』
「一度裏切られたからといって……割り切れるか!」

 ついに貴虎は弟をふりほどいて駆け出した。
 直後、足に小さな痛みが走った。痛みは一瞬にして膨れ上がり、貴虎は転んだ。

「ぐ……光、実?」
『兄さんが、悪いんだからね』

 ふり返ると、ブドウ龍砲を撃った姿勢のままの龍玄が。

『僕、こんなに心配しているのに。言うこと聞いてくれないから』

 弟を、初めて、恐ろしい、と感じた。

 足を撃ち抜かれた痛みで動けない貴虎の前で、ついにロシュオが両手を挙げた。
 このままでは、シドが。

『その愚かしさの代償、命で贖うがよい』
「待っ……」

 ロシュオが勢いよく両手を交差させると同時、岩壁は轟音を立てて閉じた。

 目の前でかつての同志が喪われた。確かに貴虎はシドにも謀られた。だが、なぜかそうでなかった日々のことばかり思い出されて。貴虎は言葉も出なかった。

『少年よ。一応は礼を言おう。その男を止めたことに対して』
『別にあなたたちのためじゃないからね、王サマ』

 光実が変身を解き、ロシュオを向いた。

「碧沙の体を守るためだ。妹の体に傷一つでもつけるのは、誰であっても許さない」

 光実は踵を返した。

「マガイモノより本物の奥さんのほうがいいでしょ? 僕は本物の王妃サマを復活させる方法を見つけてみせる。そしたら碧沙は返してもらう」

 光実は冷たく言い放つと、他の何も目に入らない様子で遺跡を出て行った。

『レデュエ。あの少年を見張れ。我が妻を消そうなどという考えを起こすようなら、お前が処断しろ』
『仰せのままに。王よ』

 レデュエの姿が消えた。

「妹だけでなく、弟にまで……!」
『愛する者の安全を最大限に図ることは、貴様らも同じであろう。私も、そうしただけだ』
「ぐ…っ」

 反論できない。スカラー兵器使用の直前、貴虎は
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