騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第二話 彼らとの出会い
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、足が壊れつつある卓袱台、申し訳程度に用意されている座布団。
「ここは教室、なのですか?」
思わず教室の扉を閉めてプレートをもう一度まじまじと見直してしまった。
確かに2ーFと書いてある。
あるけど……
「あっ、うち以外にも女子がいるんだ。よかったー」
後ろから聞こえた女声の主の方を振り向くと、相手は立ち止まってしまった。
大きな黄色いリボンでポニーテールにまとめあげられた長い赤茶色の髪の毛と、すらっとした体型の活発そうな少女。
それが彼女に対して抱いた第一印象だった。
「えっ……とWas machst du?(貴女、何してるの?)」
「あの……Ich bin japanisch(私は日本人です)…でしたでしょうか。ご期待に添えなくて申し訳ないのですが、私これでも日本育ちなのですよ?」
「え?あぁそうなんだ、ごめんね。ウチは反対にドイツ育ちだから、日本語が難しいのよね」
そういって笑っていた彼女だったが急に固まってしまった。
その目からは光が消え、その目線は僕の胸に張り付いているパッドに刺さる。
背筋が凍るほどの威圧かというか何というか
「あの……、その私、どこか変でしょうか?」
「えっ?あ、あご、ごめんね。(絶対F以上ある!!)ウチってばつい。それでこんなところにどういった用なの。」
殺気を向けられたせいで反射的に後ろずさった僕に、ばつの悪そうな顔を見せて、女生徒は再び友好的な態度に変わる。
「あの、私は今年からこちらに通うことになったのですが、教室を間違えてしまったのかと思いまして。実はFクラスに振り分けられたのですが、ここが…このクラスがFクラスなのでしょうか。」
「えっ?あぁどおりで見慣れない銀髪ちゃんだと思ったよ。うん、そこがFクラスみたいだけど、どうかしたの?」
「おいおい、そこの女子ふたり。そんなところで突っ立ったままで話してないで、とっとと中に入ったらどうだ」
男子の声に思わず身が竦む。
男子生徒が部屋の内側から開けると、扉のせいで見えなかった部屋の中が見えるようになった。
そこからの風景に女子生徒は納得したとアイコンタクトで返してくれた。
「島田か、それとそっちの銀髪もこのクラスなのか?」
「そうみたいよ、坂本。あんまりにも部屋が汚いからって扉の前で固まってたのよ。」
その体格の良い生徒は僕のことをじろりとにらんでいたが、ふいと教室の中に戻ってしまった。
「あの、私は……」
その背を追いかけるように言葉を投げかけると、男子は頭を掻きながらこちらを振り返った。
「俺は坂本だ、坂本雄二。お前の挨拶は後の自己紹介ですればいい。今から一人一人に説明していくのは骨が折れるからな。」
「えっ?」
「まっ担任が来たら自己紹介を始めるだろうから、そんときに聞かれそうなこと
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