暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第3話 いい人?わるい人?わけの分からない謎な人
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が口を開いた途端、空気が変わる。

「それと朝の件ですが、個人的にはとても有意義だったので良かったですよ。みなさんの働く“素”の姿が見れましたので」

 感じのいい笑顔のついた話の内容に、再び空気が重くなる。
 気まずさからではない。敵意で、だ。
 どんなに感じよくふるまっていようと、彼が(スパイ)であることには変わりない。それがこの瞬間に確定したのだ。
 しかもラディの神経は丸太並みに図太いらしい。向けらている敵意に気づかないわけがないのもかかわらず、何事もなかったかのように話を続けていく。

「あと、個人的には食堂のメニューなんかもよかったですね」
「食堂のメニュー?」
「はい。女性が多い部隊と聞いていたので、カフェとかに並ぶようなのが多いんだろうな〜と思っていたのですが、案外丼ものみたいなお腹にたまるものも多くて、食べ盛りの男の子の身としては嬉しい誤算でした」
「体が資本のきついお仕事だからね。気力も体力も充実させないと」

 フェイトとラディの会話になのはが加わり、貨物室の空気がぐっと和やかになる。
 それでも混じる敵意は薄まらず、表面上は和やかであっても他人目に見てもどこか緊張感のある会話だった。
 それはこういうことに慣れているはやてや人生経験の豊富な副隊長陣だけでなく、FW陣もまた感じていることだった。
 そんな緊張の中にあったからだからか。いや、常識的に考えて、さすがにそれはない、と可能性を排除していたからか。その場にいる全員が、ある“バカ”のことを忘れていた。
 その“バカ”とは、FW陣の一人であり、先程地雷を踏んだ一人。
 地雷(こまかいこと)など全く気にししない性格であり、あまつさえ、地雷の上でタップダンスを踊りだすような性格の人間。

 そう、スバル・ナカジマである。

「食堂のメニューなんてわたし全然気にしてなかったのに。そこに気づくって、“さすがスパイですね”」

 貨物室に、ヘリのローターの音だけが響く。
 やらかしたスバルはもちろんのこと、その場にいる全員の思考がフリーズする。
 そこには敵意も気まずさも和やかさも、もうなにもない。ただただ空気ごと全員フリーズしていた。
 どうにかして今の発言を誤魔化さなくてはいけない。それは誰もが分かっていた。
 しかしどうやれば誤魔化せるのかになると、本人も含め誰にも分からなかった。
 そんな誰もがフリーズした空気の中で、一人だけ毛ほども動じなかった人間がいた。
 このメンバーの中でもっとも分からない人間であり、神経が世界樹並みに図太く心臓がオリハルコンでできているような人間。

 そう、ラディオン・メイフィルスである。

「まぁスパイなんて職業、目ざとく耳ざとくないとやっていけないからな」

 スパイ(ラディ)
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