暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第3話 いい人?わるい人?わけの分からない謎な人
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 スバル・ナカジマはときめいていた。
 恋ではない。恋よりももっと幼い、強いて言えば憧れである。

 今度新しく入ってくる人……どう考えても“スパイ”なのよね。

 仕事も終わり夜の自由時間。今度新しく入ってくる局員に対して、相部屋のティアナ・ランスターが最初に言った感想がこれだった。
 その後ティアナは、なぜ彼が入ってくることになったのかとか具体的になにが目的なのかとか彼が入ってきたことによってこれから隊がどのように変わっていくのかとかなどつらつらと難しいことを語っていたのだが、そのすべてをスバルは聞き流していた。
 “スパイ”。その言葉がスバルの頭の中を占領していたからだ。

 “スパイ”。“スパイ”である。

 世界各国を飛び回っては世界平和のために色々なお仕事をするあの“スパイ”である。
 表では裁けないような大悪党を裏でかっこよく裁くあの“スパイ”である。
 デバイスを華麗に操り、敵の親玉を見事撃破した後、イカした捨て台詞を残して立ち去るあの“スパイ”である。

 その“スパイ”に会えるのである。
 しかもこれから同じ職場ではたらくことができるのである。
 これが心ときめかずにいられるだろうか?

「――いやときめく!!」
「もう分かったから少しは静かにしてよ……」

 爽やかな風の吹くヘリポートで、青いショートの髪の少女、スバル・ナカジマは拳を握りしめ力説する。
 それにげんなりとした顔で相槌を打つのは、スバルの長年の相棒であるティアナ・ランスター。気の強そうな切れ長の目と頭の両側で結わえたオレンジ色の髪の少女である。
 二人は訓練校時代からコンビを組んでいる仲であり、かなり長い付き合いである。
 というわけで、先程からテンションが暴走気味なスバルの相手を一手に引き受けている。
 ちなみに、他のメンバーはというと……。

「おいティアナ。少しスバルを黙らせろ」
「これから新人が来るのだ。そのままではみっともないぞ」
「ティアナも大変だね……」

 最初に話したのは機動六課の前線部隊、スターズ分隊の副隊長を務めるヴィータ。
 赤い髪を後ろで二つの三つ編みにした少女である。外見こそ10歳前後にしか見えないが、これでも管理局随一の歴戦の戦士である。
 そして次に口を開いたのは、同じく前線部隊のライトニング分隊の副隊長を務めるシグナム。
 桃色の髪をポニーテールにし、ヴィータとは対照的に長身で出るところは出て引っ込むところはひっこんでいる凛とした出で立ちの大人の女性である。
 そして最後に苦笑いとともにティアナを労ったのは、不屈のエース・オブ・エースこと、スターズ分隊隊長の高町なのは。
 亜麻色の髪をサイドテールにしたどこか優しげな女性。しかしその中身は、犯罪者たちから管理局の白い
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