俺馴?その2ー2
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だけだよ」
「そういう所だよ。一番いてほしいときに現れるじゃん?」
「何だそりゃ?俺はゲームのお助けキャラか何かか?」
心底こちらの言わんとすることを理解していない顔でこっちを見つめたさざめは、「まぁいいや」と呟いて手に持っていた袋をいりこに見せつけた。その中身は――可愛らしいクマのぬいぐるみクッションに、いくらかのお菓子。突如見せつけられたそれに何事かと目を白黒させると、それを見たさざめにプッと噴き出し笑いされた。
「お前がこの筐体に齧りつきになってる間にクレーンゲームでちょちょいとな。全部取るのに1200円もかからなかったぜ?お前が1200円出して一人さびしくゲームしてる間に、俺は有意義にも景品をゲットした訳だ」
さざめはあの後も目に入ったクレーンゲームを、予算1200円をオーバーしない範囲で続けて景品を手に入れていたのだ。腕前を理由に否定したクレーンゲームをきっちりエンジョイして景品も取っているさざめに驚くやらあきれるやらのいりこだったが、ボッチ扱いは納得できない。大体自分だってクレーンゲームの時は一人だったんじゃないだろうか。
「さ、寂しくなんかなかったもん!いっぱいギャラリーの人いたもん!!」
「……の割には人に来てほしかったみたいだがな〜?ん〜?」
「そんな事ない……って、あ!」
ニヤニヤとからかうように笑うさざめに反論しようとしたいりこは、そんなこと「ある」と既に自分が発言していたことに気付いて愕然とした。――しまった!と後悔と羞恥で顔が真っ赤になる。
「『一番いてほしいときに現れる』だっけ?……言ってて恥ずかしくなかったのか?」
「あ〜〜!あ〜〜!聞こえない聞いてない言ってない!!」
「そうか?まぁ俺はどっちでもいいんだがな?くっくっくっ……」
「〜〜ッ!!さざめくんのバカ!イジワル!性格悪いインシツ男ぉっ!!」
「ん〜?全然心に響かんなぁ〜?」
思いつく限りの悪口を言ってみたが、想像以上に思いつかず小学生の捨て台詞みたいな情けない内容になってしまった。もうこうなってしまえば何を言っても笑って受け流されてしまう。よく分からないが心に得体のしれぬ敗北感が圧し掛かった。いいようにあしらわれたというか、弄ばれたというか、ともかく何となく屈辱的である。
そんな屈辱的な敗北を喫したいりこの姿をひとしきり楽しんださざめは、思い出したようにああ、と声を上げた。
「そうそう、いりこ。ちょっと手ぇ出せ」
「???」
言われるがままに手を出すと――その手に景品の袋がそのまま置かれた。
いりこがゲームに傾倒している間にさざめが取った戦利品全てを、である。そして再びの不意打ちに状況が掴めないいりこに一言。
「これ、やる」
「……へっ!?な、何で!?どケチで思いやりのおの字もないような
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