俺馴?その2ー2
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まえばAIの思考ルーチンを組み上げたのは人間で、集積回路にプログラムを打ち込んで自己学習するように変えたのも人間。アーキテクチャももちろん人間を由来とする。
ならばそのAIが口にするような感情とは、人間がそのように振る舞えと命じているからそのように情報を処理しているだけとも取れる。ならばその思いとやらは作り物だろうか。
さざめはそうは思わない。
そもそも人間とて、本能というルーチンに従って脳というハードディスクに次々情報を送り込んで、そこに筋道を立てて感情や知識を学んでいくのだ。赤子にあるのは感情ではなく本能である。寂しいから泣くというのも、寂しいという感情が自分のそれに当て嵌まることを知らない時点では寂しいとは言えない。他人を見て学んで初めてそれは感情と呼べるものになる。ならば人間が受ける教育とAIの学習にどれほど差異があるというのだろう。
結局のところ、人間のそれが感情であるという事実を証明する手立てはない。
なくても人は生きていけると言うのなら、そこに本物偽物という区分を作ることに意義が見いだせない。故に、きっといりこが人ではない何かだったとしても、俺はやはりあいつといつものように喋っている気がしてならないのだ。
流石にあいつが人間を捕食してこの星の知的生命体を調べている存在ならそうも言っていられないが――もしそうならこんなまどろっこしい状況に俺を置かないだろう。そう考えている時点で、いりこに対するある種の信頼を置いている気がしてくる。
「……さて、果たしてこの感情はいりこに誘導された偽物かな?それとも俺自身の意志で決めた本物かな?」
考えてもどうせ答えは出やしない。この議題はまた次の機会があったら考えるとしよう。
= =
「くう、牛若丸強い……!!」
このゲームは一定数のスコアを出すとその時点で残機が1機追加されるシステムになっている。今までの激戦を潜り抜けたいりこは2機の残機を増やし、最初にやられた1機を引いても3機の残機を残したままラスボス戦へと突入した。しかし――
「ああっ!?」
少し前に予想の範囲外から突如突進してきた源義経よってそのうちの1機が散らされ、さらにたった今弾幕の抜け道選択を間違えたせいで1機が散った。残されるのは最後の1機。先ほどまで気が付いていなかったが、うかつにも100円玉の補給を怠ったいりこの財布にはこれ以上100円玉が無い。つまりゲームオーバーになってもコンティニューが出来ない。
既にこのゲームは10人近い人がプレイ目的で並んでおり、今ここを離れればもう今日中にプレイするのは難しいだろう。そもそも連続してコインを投入する連コは人がつっかえている状況ではノーマナー行為だ。つまり、今日のチャンスは残された1機が最後。
周囲からは、撃墜されて追
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