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日向の兎
1部
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「……さっきから何だ?私に何か話でもあるのか?」
私を見るなとは言わないが、そう露骨に見られるというのは不快だ。ましてや読書中ともなれば尚更だ。アカデミーの退屈な授業を受ける苦痛を紛らわす為にも、休み時間位は読書によって精神の安定を保たなければやっていられないのだ。
「あ、ごめんごめん、なに読んでるのか気になってさ」
「ああ、これか忍具の素材に関する書物だ。ところで君は誰だ?私は……」
「日向ヒジリでしょ?あなた有名だよ、あの日向の天才ネジを横にいつも侍らせている兎面のくノ一ってアカデミー中で話題になっているんだよ?」
……ネジを侍らせているか、まぁ規則としてネジは私を監視しなければならんのでそう見えても仕方がないか。
いや、それよりもそんな訳の分からん噂がアカデミー中に広まっているというのは妙な気分だな。それも私の預かり知らぬところで、だ。とはいえ、人の噂も七十五日というように放っておけば消えるか。
「私の名前はテンテン……ってあなたもう何ヶ月も隣にいるのに名前覚えてなかったの?」
「すまない、アカデミーの私は思考の八割を妹のこと、一割五分を自分をどうすれば強くできるかについて考えているのでな」
「それでいつも満点をとるあなたって一体何なの?」
「座学に関してはアカデミーで習う知識など数年前に学び終えているからな。ここに来るまで家では殆ど本を読むことに時間を費やしていたので、無駄に知識だけはあるのだ」
日向は木の葉でも名門という事もあり、蔵書やらに関しては並の図書館を上回っているのだ。
それに勘当されてからは時間だけは掃いて捨てるほどあったからな、知識をつける位しか楽しみがなかったというのもあり知らず知らずの内に知識ばかりついていったものだ。
「それで、この本がどうかしたのか?」
「私も忍具に興味があってね、少し気になったんだ」
「む?そうか、では少し質問なのだが重量を無視して携行性とリーチを重視した打撃系の忍具というものを考えているのだが、なにかいい案はないだろうか?」
「重視を無視して?そうね……三節棍なんてどうかしら?普段は分解した状態で、必要な時に組み上げるっていうのはさ」
三節棍か……ふむ、存外悪くはないな。ただあと一歩足りん気がするが、方向性はあっている筈だ。まぁその一歩を見つけるのは私の仕事だろうよ。
「貴重な意見、感謝するぞ。そうさな……なにか礼をしたいのだが、何がいい?」
「え、いいよいいよ、大した事はしてないし」
「いや、それでは私の気が済まない」
「じゃあ、今度ゴマ団子を一緒に食べに行く、それでどうかな?」
ゴマ団子……ああ、中華料理のあれか。ふむ、あれは私も好きだぞ。鼻に抜けるゴマの香ばしさが団子と餡の甘みを引き立てるいい料理だ。
「ああ、いいだろう。ただ、ネジも付いてくる
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