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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな真実を暴く必要があったのだろうか
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・そ、そうかしら」
「そうですよ」

光子の目は、暗に「私にそんなことを言われる資格はない」と言っているようだった。しかし、ジェーンはそうは思わない。
自分より他人を優先して生きて、他人の為に死ねる。元来そういう性質を持った人なのだろう。その危なっかしさはゴエモンに似ていて――この人も幸せであってほしいと思う。



 = =



光子とゴエモンは、親と子でありながら肉体関係を結んでしまった。
ゴエモンの肉体と結ばれることで強い充足感と、彼が自分と共にあるという安心感を得た光子は、行為を重ねるごとに冷静さを取り戻していった。と同時に、自分が大きな過ちを犯してしまったことに気付いて直ぐに行為を止めた。そこで肉欲に溺れなかったのは、流石なのかもしれない。

こんな事を続けていては自分のためにもゴエモンのためにもならない。行為に溺れた所で何の解決にもならないし、むしろ自分がゴエモンに依存しきってしまうことになりかねない。
それに、光子ゴエモンの瞳の奥に抑え込んでいる漠然とした不安と恐怖を感じた気がした。行為を止めて以降、ゴエモンから行為を求めてくるようなことは無かった。ゴエモンは望まぬ行為を、それでも母の為と必死で行っていただけだった。我慢だったのだ。
考えてみれば当然である。目の前で乱れながらも体を求めてくるあられもない姿の母親と、今までに感じたことのない異常な刺激。ゴエモンにはその行為の全てが歪で異常に思えた筈だ。全ては母のため、母に言われるがままなされるがまま。だから、早く元の母親に戻って欲しい――そう思っていたのだろう。
しかも、ゴエモンはその時期すでに精通を終えていた。つまり性行為によって子供を作れる身体になっていたのだ。そして冷静でなかった光子は避妊のための行為を一切行わなかった。こんな事を続けていれば自分は息子の子供を孕んでしまう――その危うさと、ゴエモンへの母性が正気を取り戻させた。

それから、真田家は普通の家族に――一家の大黒柱を失って途方に暮れる家族に戻った。ゴエモンも、あれは悪い夢だと思い込むことで光子と普通に接することが出来ていた。夫の遺産はある程度残ったし死亡保険が入ってきたが、いつまで持つかは分からない。光子は息子にやったことを忘れるようにパートアルバイトに励み、ゴエモンもそのことを務めて忘れようとしてた。

だが――もう犯した過ちは取り返しのつかない事態を生んでいた。

光子は、ゴエモンの子をその胎に宿してしまっていたのだ。

「周囲は、夫の忘れ形見だと言ってよくしてくれました。そう言われるたびに私は、行き場のない背徳感に心を焦がされました・・・・・・何より、”また”祝福すべき事を素直に喜べていないと」
「中絶は・・・・・・いや、言うまでもないですか。貴方に自分の子を捨てられる
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