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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第五話 世界ガ悪魔ニ壊サレル前ニ
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のが過ぎった。
 ゴクリと何時の間にか口中に溜まった唾を飲み込みながら、息を詰めヴィットーリオの言葉を待つルイズたち。
 そして―――告げられる。

「―――世界が終わります」
「「「……は」」」

 唖然、と言うよりも、間の抜けたような顔をルイズたちは浮かべていた。だが、それも仕方のないことだろう。ハルケギニア最大の宗教組織の長が、突然世界の終わりを予言したのだ。間の抜けた顔の一つや二つ浮かんでも仕方がない。しかし、士郎を除いて、であるが。

「―――その根拠となる事についてだが、説明はして……もらえないか」
「ええ……本当に残念ですが。特に二つ目の理由については、未だ真偽が定かではないこともありますし。それに―――」

 士郎から目を離したヴィットーリオは、ルイズたちに背を向け窓を見上げた。

「―――事はハルケギニアだけでなく、この世界全てに係わることです。誤った情報をお伝えしてもいけませんからね」
「世界が終わる、か……一体どんな理由なのか……」

 片手で覆った口元から誰に言うでもなく疑問を口にした士郎に、期待していなかった応えの声があった。
 視線を感じ顔を上げると、窓から差し込む光を背にしたヴィットーリオが士郎を見つめていた。

「そういえば……先程お話した二つ目の理由について、その内容が余りにも荒唐無稽と言いましたが、実は、最近入手したあるモノの中の一つに、このような事が書かれていたんですよ」

 突然何を言い出すのかと疑問を浮かばせる士郎たち。理由は話せないと言った直後のこの言葉。何を考えているのかと、眉間に皺が寄るほど強くした視線でヴィットーリオを見る。だが、光を背に背負ったヴィットーリオの顔は、逆光で全くどのような顔を浮かべているのは判然としない。眩しさに士郎たちは反射的に目を閉じ。その時、偶然全員の瞬きの瞬間が一致する。一瞬だけ現れた闇。一秒にも満たないその闇の中、士郎たちはその一節を耳にした。



『カノ悪魔ガ立ツハ無限ノ剣ガ突キ立チシ枯レ果テタ大地―――世界ノ終ワリヲ予見サセシ赤キ空ニハ歯車ガ回リ―――彼方カラハ鉄ヲ鍛エシ音ガ響ク―――』 

 

 見開いた目の視線の先、光の中に顔を隠したヴィットーリオの口元が歪んで見える。



『―――急ゲ―――世界ガ悪魔ニ壊サレル前ニ―――』

 






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