第十三章 聖国の世界扉
第五話 世界ガ悪魔ニ壊サレル前ニ
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この話の中心であるヴィットーリオであった。
「ええ、勿論です。何故ならば、“聖地”こそが我々の唯一共通の“心の拠り所”だからです。その“拠り所”が我々には何よりも必要なのです。考えても見てください。我々は万物の霊長であります。その我々が何故、同族である人同士で殺し合うのか? 些細な誤解で迷い、惑い、狂乱に陥ってしまうのか?」
一旦言葉を切ったヴィットーリオは、一度ぐるりと士郎たちを見回した後、口を開いた。
「答えは一つ―――心の拠り所を失っているからです」
微笑むヴィットーリオ。その身に纏う雰囲気は、何処までも優しく柔らかく、温かく包み込まれるような。
「人は大切な何かを失った時、それが取り返しの効かないものであればあるほど、その代わりのもの―――代替品を探します。それは別に目に見えるものだけではなく、心でも同じ事が言えます。つまり、“聖地”という“心の拠り所”を奪われた我々は、心に空いたそのあまりにも大きな損失を埋めるため、無意識に代替品を探すようになってしまったのです。ですが、失ったものは比べられるものなどない“聖地”と言う“心の拠り所”そのものです。一つ二つの代替品で埋めれるようなものではありません。財宝、美食、美女、名誉、土地……空いてしまった穴を埋めるための代替品を奪い合い、この数千年、一体これまでにどれだけの血が流れたのでしょうか……」
悲しげに顔を伏せるヴィットーリオに同調したのか、ルイズやティファニアたちも顔を曇らせている―――ただ一人士郎を除いて。
「だからこそ、これ以上血が流れる前に、我々が力を合わせ、聖地を取り戻すのです。そう、神と始祖ブリミルがわたくしたちに授けた伝説の力―――“虚無”を持ってして。そして、聖地を取り戻した時こそ、我々は真に目覚め。その時をもってハルケギニアは“統一”されることになりましょう。“統一”。つまり、完全な平和。そこでは一滴も血が流れることはなく、悲しみに溢れる涙もありません」
淡々とヴィットーリオが話す言葉の中に、聞き逃せない言葉を耳にしたルイズが、思わず口からその言葉をこぼしてしまう。
「―――とう、一?」
「ええ、その通りです。ハルケギニアは統一されます。何も不可能なことではありません。何故ならば、わたくしたちは共に始祖ブリミルを祖に抱く兄弟なのですから」
両手を大きく広げ、暖かな声で宣言するヴィットーリオ。口にした言葉は荒唐無稽に程があるが、ブリミル教の信者ならば、いや、信者ではなくとも、今のヴィットーリオを見れば疑いようもなく信じてしまうほどの力がその宣言にはあった。
思わずルイズが頷いてしまいそうになる程に。
だが、その威光が全く効かない人物がいた。
それは―――。
「―――一つ、聞きたいことがある」
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