第十三章 聖国の世界扉
第五話 世界ガ悪魔ニ壊サレル前ニ
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だ』であった。
士郎たちを出迎えたヴィットーリオは、人外の美しさを持つハーフエルフのティファニアにも勝にも劣らない美貌を持っていた。圧力を感じる程の美貌を前に、ルイズやティファニアは圧倒され、言葉もなく立ち尽くしていたが、その波乱万丈な人生経験から、様々な桁の外れた美しさを目の当たりにしてきた士郎の反応は、その美しさに感心したようなため息をついた程度であった。
しかし、ヴィットーリオの特筆すべき点は、その美しさ以上に身にまとう雰囲気である。誰もが自然に足を折る慈愛のオーラ。確かに、この姿を見れば誰も彼がこの若さで教皇の地位についた事に対し疑問を抱かないだろう。それほどの『力』を感じさせる程であった。公爵家と言う大貴族に生まれ、これまで様々な地位の人間を見てきたルイズも、自然と小さな子供たちに囲まれ育ってきたティファニアも同じように尊い存在であると感じさせる『何か』を、確かにヴィットーリオは持っていた。
とは言え、そんな聖人を思わせる人物を見た際の士郎の抱いた感想は『厄介そうだ』ではあったが。
士郎が心中で様々な思いを巡らせていると、ジュリオからの報告を聞き終えたヴィットーリオが顔を上げた。
「さて、どうやら色々とわたくしの使い魔がご迷惑をおかけしたみたようで。本当にすみませんでした」
こほん、と一つ咳をしてルイズたちの視線を集めたヴィットーリオが深々と頭を下げた。
その突然の謝罪に、ルイズたちは驚きを見せる。
それはブリミル教の頂点に立つ教皇が頭を下げた事もあるが、それ以上に原因は口にした言葉にあった。自分が耳にしたものが聞き間違いではない事を確認するために、ルイズが恐る恐るといった様子で口を開く。
「あ、あの、せ、聖下? い、いま『使い魔』とおっしゃられましたか?」
「ええ。確かにそう口にしましたが?」
「「……………………」」
ヴィットーリオから間違いないとのお墨付きを受けたルイズとティファニアが、ギギギと錆び付いボルトを回したかのようなぎこちない動きで互いに顔を見合わせると、無言で見つめあう。
動かなくなったルイズとティファニアの姿に口元を綻ばしたヴィットーリオは、親しげな笑みを浮かべた。
「お気付きになられた通り。わたくしはあなた方と同じく“虚無の担い手”です。つまり、わたくしたちは血の繋がらぬ“兄弟”とも言えますね」
「そんな……まさか……」
「と、言う事は、ぼくとあなたも“兄弟”と言う事になりますね」
ルイズとティファニアが驚愕に打ち震える横で、ジュリオに笑いかけられた士郎が静かに口を開いた。
「つまり、お前が“神の右手”―――“ヴィンダールヴ”か」
「ほう」
「へえ」
士郎が口にした『ヴィンダールヴ』の言葉に、ヴィットーリオとジュリオが感
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