幽鬼の支配者編
EP.24 想い重ねて
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女の右腕を掴んで封じた。
「ッ、放せ!」
「うっ、ぐ……自分は人間じゃないって、お前さっき言ったな……」
我に返ったミラジェーンは当然暴れはじめる。
自由な左手で顔を殴りつけられて呻きながらも、少年は焼けるような肩の痛みに耐えて話し掛けた。
「? ……あうっ!」
彼の意図が分からずに再び手を止めた彼女は、次の瞬間、電撃のような炸裂音とともに、弾かれてしまう。
衝撃でよろめき、尻餅をついて痛む右手を抑える彼女は目を開くと驚愕した。
生理的嫌悪感を抱かせる右腕は、傷一つ無い人間のものだったからだ。
「なんで……?」
まるで夢のような出来事に思考が追い付かず、彼女は呆然と見上げる。自分を見下ろす少年の顔は自らの血に濡れており、もとから険しい表情に拍車をかけていた。
「……俺の“魂威”で掻き消されるような、その程度の力で人間じゃないだと? 笑わせるな! お前なんか足元にも及ばないような人外の力を持っていようと、想像もできないような重いものを背負っていようと……人間らしく笑って生きてる奴は大勢いるんだ!」
「そんなの、私には関係ないだろう……」
「ああ、そうだな……じゃあ、ついでにもう一つ言ってやるよ」
怒りを露わにする少年に、ミラジェーンは俯いてこぼす。
言葉を切った彼は片膝をつくと、彼女と視線を合わせた。
「人間じゃないなら……なんで泣いてるんだ」
「え……あ」
怒りから一転、悲しそうな少年の言葉に、ミラジェーンが自分の頬に手を当てると、そこには熱い液体……涙が流れていた。
「『私たち』って言ったな……どうしようもない理不尽に対して、自分以外の者のために涙を流せるのは、れっきとした人間の証だ。それに……」
妖精の尻尾はそんな奴の集まりだ。
そう言った少年の笑顔に、ミラジェーンはついに涙を溢れさせてしまう。
「その力は大事な人を守れる力だ。そいつらと別れる事になっても、本当にいいのか?」
少年の問いに、彼女は顔を両手で覆いながらも首を横に振る。
「そっか……だったら――」
笑った少年は穏やかな表情になり、言葉を続けようとした……その時だった。
「姉ちゃんを……」
「ミラ姉を……」
「?」
「あ……」
少年の背後から二つの影が現れた。聞き覚えのある声たちだったが、彼には誰かは思い出せない。
彼に相対しているミラジェーンの視界には彼らの姿がばっちりと映っており、何をしようとしているのかも分かったため止めようとしたのだが……遅かった。
「「苛めるなぁあああっ!!」」
「いぎっ!? ―――――――――――!!」
突然後ろから頭を、次に左肩を殴られた。
頭はまだしも、負傷し
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