第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ユナト
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ゃに握り締め、戸惑う鬼鮫を置いて走ってきた、というわけだった。
この間の任務の時、里に近づきすぎたらしい、とイタチは目を細めた。
里はなんでもユナトに教えるようだから。
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「マナの容態は?」
ハッカは微妙に鯱張っているようだった。こちらへ、とヒルマは病室へハッカを案内する。
マナの顔は赤く上気し、息は荒かった。雑音の入り混じった呼吸音。右腕は包帯でぐるぐる巻きにされ、病室内にはおかしな臭いが僅かにしている。氷枕の上に頭を乗せたマナの体が、時折痙攣するかのようにびくんびくんと震えた。
「傷口が化膿していて、それが高熱を起こしているようです」
先ほど見てきたユヅルは、蜂蜜と水と点滴とでやっと生きている状態だった。呪印を抑える封印式を使用したものの、容態はあまり改善していない。力なく横たわる二人の弟子の姿に落胆しながら、ハッカは「ありがとう」とヒルマに言って病院を後にすることにし、ついでに木ノ葉を一周する修行をすることにした。
そしてハッカはその途中で、鬼鮫とであった。
「――?」
「…………」
暫く無言で見詰め合っていた二人だが、先に口を開いたのはハッカだった。
「が、ガイ!! 我が青春の盟友ガイはどこだ!? 二足歩行の鮫がいるぞ! これはきっと明日の木ノ葉新聞に載るはずだ、ガイッ……って、ガイはいなかったな……あ、そこの鮫さん、写真を取らせてくれないか? ギャラもちょっとだけなら払えるぞ」
「…………殴っていいですか?」
干柿鬼鮫。尾のない尾獣とまで呼ばれる膨大なチャクラの持ち主だ。名は体を表すとはよく言ったもので、鬼鮫と言う名前は頬にある鰓に青い肌など人間離れした鮫のような外見を実によく表現していた。興奮するハッカに鬼鮫は半ば呆れ顔、半ば警戒の面持ちで、問いかけた。
「な、なぐ……おおっ!? よく見ると指輪もつけている! すばらしいな、二足歩行なだけじゃなくてコートを着こなし指輪もつけているとは!」
「……ふざけてるんですか?」
「何を言う!? 私はいつでも本気だ! ところで鮫くん、私の部屋に住んでみないか? ガイに紹介したいんだが、今日がだめというなら明日でもいいから、な!」
あくまで鬼鮫を二足歩行する珍しい鮫の一種だと思い込んでいるらしいハッカに鬼鮫は呆れるしかない。鬼鮫を置いて話がどんどん進んでいるようだ。名乗ってみたら正体に気づいてもらえるだろうか、気づいてもらえるだろう、S級犯罪者でビンゴブックにものっている抜け忍なんだし、と期待を抱き、そしてこれからおこるかもしれない戦闘に身構えつつ、名乗ってみる。
「あのう、私、干柿鬼鮫と言って……」
「きさめか! 綺麗な鮫で綺鮫だな!? かわいらしい名前ではないか! さあさあ遠慮なく遠
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