龍と覇王は天前にて
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れをしなかったのは自分の罪だと、甘んじて受け止めていた。
否……と、頭に浮かんだ。
それすら甘い考えだと、気付いてしまった。
「曹孟徳は……余が動こうともねじ伏せたであろうな。アレは月に協力はせんかった。そんな温くたい考えのモノが、他者から覇王と呼ばれるはずがない。この大陸はもう、黄巾が起こった時点で取り返しがつかんかった」
哀しいことだ。皆が助け合えば、其処に平和は訪れるのに……劉協の心は憂いに染まる。
気兼ねなくこんな事を話せるモノは、劉協の隣には居ない。
誰かが隣に欲しいと思った。話を聞いてくれるだけでいいと願った。
ふと、耳に挟んだ噂を思い出した。そういうモノならば、自分と対等に話せるのではないか、と。
臣下達が躍起になって探していた人物の噂。帝の名を貶め、民には希望を与えるモノ。この大陸に於いて劉協の存在理由を、真っ向から否定するモノ。
そこまで考えて仰向けに寝そべり、腕を額に当ててため息を零した。
「『天の御使い』……か。
乱世を治めるなどと……ふざけておるな。逆じゃろうに。二天は乱世を呼ぶ。天からの御使いというのなら、なぜ、余の元に居らん。御使いとやらは、漢を殺しにきた乱世の使者じゃろうて」
毒を吐き出す。
澱みを、他者に突き刺す。
其処には救われない少女が一人。
世界に天から引き摺り下ろされる少女が、ただ一人。
「人の身が天に上るから、人々は希望を向けたのじゃ。余の祖も、元は人の身。そうしてこの大陸は繰り返されてきた」
だから……と思考が繋がる。
「お主は訳が分からん、曹孟徳。何故、余に関わろうとせんのじゃ。お主が話しに来ないのならば、余にも考えがあるぞ」
ぶすっと口を尖らせて、不満を露わにした。
「次の戦が終わり次第、盟友と認めた黒麒麟と共に、余の元で全てを話して貰おうか」
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