群雄割拠の章
第四話 「そこで相談じゃ……わしらはどうするべきか」
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方向は、上陽へと続く大街道なのだ! 逃げた先で非道を働くかもしれないのだ!」
「あっ……」
そんなこともわからないのかー!?
「商人や旅をする人たちを安全に守るのが、鈴々達の役目なのだ! 全員、追撃なのだ!」
「し、しかし……我々はともかく、補充兵たちが……」
「にゃっ!?」
鈴々が後ろを振りかえると、息も絶え絶えにのろのろ動く兵がいるのだ。
中には座り込んでいるのまでいるのだ。
「〜〜〜〜っ! なら、付いてこられる人だけでいいのだ! 残りは、休んでから大街道の詰所で合流するのだ!」
それだけ言って、鈴々は賊を追うために走りだすのだ。
正直、この程度で音を上げているような兵に、第二軍は務まらないのだ!
「……仕方ない。お前は残って、補充兵どもの指揮をとれ。残りの古参兵は将軍に追随! いくぞ!」
「「「「 おう! 」」」」
第二軍の千人隊長たちが、鈴々を補佐してくれるのだ。
だから鈴々は、敵を倒すことだけに集中できるのだ!
(お兄ちゃんがいなくなってから、どんどん賊が増えているのだ……)
お兄ちゃんがいた頃は、鈴々たちがこんなに頑張らなくても賊は少なかったのだ。
でも今、愛紗は倒れた桃香お姉ちゃんにかかりきりだし、馬正のおじちゃんがいなくなったから、新しい警邏隊の隊長もうまく動けていないのだ。
梁州の警官も妙に忙しくなっているみたいだし、なんか嫌な感じなのだ。
「〜〜〜〜〜〜〜っ! なにくそーっ!」
ダメなのだ!
お兄ちゃんがいなくなることなんて、連合の前でもあったことなのだ!
お兄ちゃんがいないからこそ、その留守を預かるのが鈴々達の役目なのに!
桃香お姉ちゃんはずっと泣いているだけだし、愛紗はその世話で疲れている。
朱里も雛里も仕事はやっているけど、どうにも空回りしている感じなのだ。
星はなんとか頑張っているけど、一刀のお兄ちゃんはまだまだ力が足りないのだ。
だからこそ鈴々が……お兄ちゃんの一番弟子である鈴々が、誰よりも頑張らなきゃならないのだ!
お兄ちゃんが帰ってきた時に……必ず良くやったと、笑顔で褒めてもらうために!
「鈴々は、鈴々は、負けないのだーっ!」
―― other side 漢中 ――
コン……コン……
控えめな戸を叩く音。
しばらくして、戸が開かれる。
その戸を開けたのは、関羽であった。
疲れた眼、少し痩けた頬、そして誰が見ても青い顔。
その顔は、とても武人とは思えぬ姿であった。
だが――
「……桃香様。お食事を、お持ちしましたよ……」
そうか細い声で囁く関羽の視線の先にいる人物は、それよりなお豹変
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