群雄割拠の章
第四話 「そこで相談じゃ……わしらはどうするべきか」
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突然孔明ちゃんから告げられた事に、俺は唖然とした。
盾二の命を、身を持って守った忠臣、馬正の仇を見つけたということは聞いていた。
だから俺はその相手を捕らえに行ったのだと思っていた。
けど、盾二はこの梁州を去り、俺を自分の代わりとしてこの国を任せると言ったらしい。
無理だ。
あいつみたいな才覚のない俺が、そんなことを。
歴史に名高い臥龍と鳳雛ならともかく、俺なんかに国の運営なんてできるわけがない。
だから国の運営に対しては、俺は孔明ちゃんに任せた。
盾二の存在が……天の御遣いとしての存在が必要なら、その身代わりとして影武者を演じることも了承した。
その上で、国の運営に必要なことを少しでも学ぶことにした。
俺にできるのは、それが精一杯だからだ。
でも、孔明ちゃんが俺を見る目は、以前より冷たくなった気がする。
鳳統ちゃんに至っては、仕事が忙しいのか全然顔を見ていない。
二人共、俺に盾二を重ねて落胆しているのかもしれない。
それは多分……已む得ないことだと思う。
けど、俺はずっと心にしこりが残っていた。
盾二が、俺に何も言わずにいなくなったことに。
皆が盾二を求めることに。
自分の力が全然足りないことに。
それら全ての憤りと悔しさと悲しみが、俺の胸を締め付ける。
そして多分、生まれて初めて。
この時、俺は……盾二に対して、嫉妬していたんだ。
―― 孔明 side ――
「はあ……」
思わず出る溜息。
目の前にある大量の竹簡を検閲する気にもなれない。
「朱里ちゃん……」
隣にいる雛里ちゃんも私と同じ。
いつもは人の十倍の速さで仕事をさばく手が、止まっている。
「……三州同盟、とうとう解消になっちゃうね」
「……グスッ」
そう。
私たちが落胆する理由は、それだった。
一月前の劉表さんからの通告。
桃香様を……立ち直らせることが、できなかった。
「明日は約束の期限の日……劉表さんが来る日。でも、桃香様は……」
「……………………」
桃香様が寝込まれてから、もう二月近く。
その身は痩せ衰え、頬もこけ、以前のような明るい笑顔など見る影もない。
それどころか……このままでは命すら危うい。
「盾二様だけでなく、桃香様まで失ったら……この梁州は……」
「グスッ……ふえっ……ふええ……」
雛里ちゃんの泣くのも無理はありません。
私達は……本当に無力です。
盾二様から託されたこの梁州を……たった二月でここまで危うくするなんて。
「なにが梁州の宰相……なにが……私は、こんなに無力なんて……」
「グスッ……盾二さま……ごしゅじ
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