群雄割拠の章
第四話 「そこで相談じゃ……わしらはどうするべきか」
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していた。
劉備玄徳――梁州牧であり、関羽達の主である。
だが、その姿は……
「………………」
頬は関羽以上に痩け、その顔色は死人のごとく青白い。
横たわる姿は、もはや若々しさなど感じることができぬまでに痩せ衰えていた。
そしてなにより――その目は、すでに光を失い、虚空を彷徨っている。
つまり――生気がないに等しい。
「少しだけでも……少しだけでも食べて下さい……これは、ご主人様が残された書物から作ったお粥というもの……」
関羽の言葉に、欠片も動かなかったその腕がピクッと動く。
横たわる劉備の視線だけが、関羽の方へと向いた。
「あ……いしゃ、ちゃ……ん……ご……じん……さま……は……こ……」
そしていつもの様に同じ言葉を繰り返す。
関羽がこの一月、盾二のことを口にすると、決まって尋ねる言葉。
曰く――『ご主人様はどこ?』
「…………………………」
関羽は首だけを振る。
すでに慰めなど意味を持たない。
口だけで盾二がすぐ戻ると言っても、劉備はもう帰ってこないと泣くだけ。
だから、慰めの言葉などこの二月程でとうに尽きた。
そして劉備は、そんな関羽を見て、また視線を虚空に戻す。
ここ十日ほど、この繰り返しだった。
それでも、この言葉を発するときだけは、食事を摂ってくれる。
お粥のみではあったが――それもすでに重湯と言ってもいいほどのものでしかない。
このままでは、劉備は近いうちに死んでしまう。
そう関羽は危機感を募らせている。
だが、劉備を励ます言葉など、自分に何が言えようか。
それは、自ら主と仰いだ盾二に捨てられたのだという、劉備と同じ思いが関羽に重くのしかかっていたからである。
今は義姉妹の契りを交わした劉備の世話で気を張っているが、自らの部屋に戻れば劉備と同じように力なく横たわる日々。
すでに関羽自身も、ここ数日なにも食べていなかった。
食べても胃が拒否して戻してしまうからだ。
(私と桃香様は……もうダメかもしれない)
暗く落ち込んだ気持ちが、そう思わせてしまう。
私達はもう――立ち上がる気力が湧いてこない。
そう思うと不意に涙がこぼれてしまう。
だが、それでも関羽は劉備に粥を食べさせる。
もう、自分にはそれしかできないと思いながら――
だが、そんな落日の日々が、突然終わりを告げた。
「邪魔するわよ」
一人の女性が、その言葉とともに扉を開け放ったのである。
「………………っ!?」
それに驚き、振り向いた関羽。
その視線の先にいたのは――
「…………まったく。そんなところに寝っ転がって、一体何をして
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