番外編:二人っきりの休日
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を及ぼすようなものかね……。
そんなことを考えながら俺の胸元に頭を預けている詩乃の柔らかな髪を指で梳く。肩にかかるくらいのショートヘアは何の抵抗も示すことなく指の間を流れていった。
気持ち良さそうに目を細める詩乃の、その猫のような仕種に内心苦笑しつつ、しばらくその行為を継続する。
部屋に響くのは時を刻む時計の音と、外からわずかに聴こえてくる物音。それだけであったが、そんな静謐な空間はけして気まずいようなものではなく、むしろ暖かな日差しの下でひなたぼっこをしているような、心地よさに満ちていた。
「……このままだと寝ちゃいそう」
「別に寝てもいいんだぞ? 夕飯が出来た頃にちゃんと起こすから」
「それも魅力的だけど、燐と料理をしたいから……」
トロンとしていた目を醒ますように詩乃は二、三度瞬きすると俺を見上げて微笑んだ。
「そうか。ならそろそろ支度を始めようか」
壁にかかっている時計を見てちょうど良い時間であった。なので、立ち上がろうとするが詩乃は動こうとしない。
「詩乃?」
不審に思い詩乃の方を見た次の瞬間、俺の首に詩乃の腕が巻き付いてきた。
完全に予想外のその行動に思わず、目を見開き硬直してしまう。
そんな俺の視界に詩乃の顔が近づいて来て……俺の唇に暖かな感触が広がった。
数秒間のキスを終え、唇を離した詩乃は顔を赤くしながらも得意げに微笑むと……。
「……表情が変わったね」
「たく……一本取られたよ」
軽く微笑みながら詩乃の頭を少々強めに撫でる。すると詩乃は嬉しそうに擦り寄ってきた。
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