番外編:二人っきりの休日
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の人気者と化し、可愛がられている。
恥ずかしがる詩乃は可愛いからな。
「とりあえず、買い物があるから」
そう言って女性を追い返すと、詩乃を腕から引き離す。
「相変わらず……詩乃は慣れないんだな」
「だって……燐の彼女になれたのが幸せで……その……嬉しさと恥ずかしさで……。いつまでも忘れたくはないから」
幸せそうにはにかみながらこちらを見上げる詩乃から視線を外し、頬を掻く。
……不意打ちはお互い様だろう。
「……全く、慣れないとこれからもからかわれ続けるぞ?」
「うぅっ……それは困る」
再び恥ずかしそうに顔を真っ赤にする詩乃と連れ立って商店街内を歩く。
八百屋、魚屋、肉屋と回るが行く先々でからかわれ続け、帰りの途につく頃には詩乃はかなりの消耗を強いられていた。
対して俺は上手くあしらっていたので、全く消耗していなかった。それが少々詩乃気に食わなかったようで……
「……燐はなんで平気なの?」
「ん?ああ……まあ、慣れだな。それに詩乃は大切な彼女だ。事実を言われた所で恥ずかしがる所以はない」
……軽くジャブを放ったら、鋭いカウンターをもらって一発KO(真っ赤になって沈黙)した。
実際のところ恥ずかしいのだが、いつものようにポーカーフェイスで抑え込んでいただけだ。いつもの詩乃なら俺のポーカーフェイスを軽く見破ってくるのだが、今回の場合動揺していて見抜けなかったらしい。
「……どうやったら燐の表情を変えれるんだろう……」
俺に手を引かれながら考え込む詩乃。
詩乃と繋いでいる手とは逆の手に提げた買い物袋が邪魔だな。なら。
「詩乃」
「なに……って、きゃ!?」
腕を引っ張って胸元に引き寄せる。
「なら、これくらいの不意打ちはしないとな」
「……だって、人前じゃ恥ずかしいし……」
引き寄せられたことで再び赤くなる詩乃。夕方で人通りが少なくなったとはいえ、それなりに目撃者はいた。ある人は微笑ましそうに。ある人は羨ましそうに。またある人は妬ましそうにこちらを見ていた。
「じゃあ、さっさと帰るか。家じゃないと詩乃は素直になれないみたいだし」
「……バカ……」
結局、詩乃のアパートに到着したのは空が夕焼けで赤く染まり始めた頃だった。
夕飯の支度をし始めるには少々早かったため、ベッドに二人で座って寛いでいると、詩乃が甘えるように擦り寄ってくる。
「相変わらず、周囲の目がないと普通に甘えてくるな。……何と言うか、猫みたいだ」
「普段はなかなか甘えられないから、こんな時位はいいでしょ? 猫みたいなのは……ALOでの影響かな?」
ALOでの詩乃のアバター、シノンは確かに猫型のケットシーだが。現実にまで影響
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