第十三話 幼児期L
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ら、なのはさんは狙われない。そんな都合のいいことあるか?
まず、地球で魔力の存在を彼らは捜すはずだ。魔法文化がないとはいえ、はやてさんという存在がいたのだから。すぐにはなのはさんに気付かなくても、いずれ気づく可能性の方が高い。
普通少女高町なのはでも、リンカーコアはあるんだ。しかも、彼女は原作のような戦いを経験していない普通の9歳児。そんな子が、いきなり見知らぬ大人に胸を一突きされて、意識を失わされたら? 原作でだってひどく消耗していた。『普通少女トラウマなのは、始まります』ぐらいの心の傷を被るかもしれない。
さらに、はやてさんの足が動かないのは、リンカーコアに闇の書の力が浸食されていたからだったはず。もし襲撃で無事だったとしても、なのはさんのリンカーコアに不調が出たら、どうなる。
原作では、アースラですぐ治療されていた。でも、地球でそんな治療はできない。下手したら、彼女は障がいを持つかもしれない。命を、失ってしまうかもしれない。
これが、俺がいることの、俺というイレギュラーな存在が生きていくことで起こるかもしれない『未来予想図』なんだ。
「……あぁ、うん。そうだよ。わかってたんだよ、こんなの」
彼女達を不幸にしてしまうことぐらい、わかっていた。なのはさんも、フェイトさんも、はやてさんも、これから先彼女達に関わる人たちも。
それでも、俺はいやなんだ。家族を失うのは、今の日常が壊れるのは。だから、受け入れなきゃ駄目なんだ。彼女達を不幸にしてしまう未来に進むことを、俺が1人の人間の存在を消すことを。
俺が進む未来は、間違いではないんだ。アリシアを救うことが、家族を救うことが間違いだなんて俺は思わない。これは、仕方がないことなんだ。割り切らないといけないことなんだ。
だから……、俺はこのまま突き進めばいいんだよな?
******
「うん…。アルヴィン?」
プレシアはふと目を覚ます。覚醒しきれない意識の中で、最初に浮かんだのは疑問。隣にいるはずの息子の存在が、感じられないことに気付いたからだ。彼女はそれを理解すると、ベットから身体を起こし、辺りを見回す。
暗い室内に、プレシアは傍にあるはずのランプに手を伸ばす。しかし、その手の先には何もない。それに少し眉をしかめたが、次の瞬間、部屋にうっすらとした明かりがともった。
『目が覚めたのですか? マイスター』
「コーラル」
緑の淡い光が室内を照らす。ふよふよとプレシアの望みだろうと、自身を発光しながらコーラルは声をかける。プレシアはそれにありがとう、と声をかけながら、改めてきょろきょろと視線を巡らせた。
やはり先ほど手を伸ばしたはずのランプも、アルヴィンの姿もなかった。
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