第十三話 幼児期L
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アリシアも母さんも本来なら、なのはさんたちと接点なんてないに等しい。むしろ、アリシアたちの幸せを糧に、なのはさん達が幸せになっているともとれたであろう。
俺がもっと図太ければよかったのかもしれない。そうすれば、アリシアを救った後も俺には関係ないことだと思えたかもしれないから。20年も先の物語としてだけ知っている彼女たちと、5年間共に暮らしてきたかけがえのない大切な家族。天秤に掛けるまでもなかったんだから。
それでも、未来を思うのが、前を向くことを俺がずっと怖がっていた理由は1つだけ。
ただ単純に、俺はそんな風に割り切ることができない、大切なもののために何かを犠牲にすることを考えられる覚悟もない、弱い人間であるだけだったんだ。
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「俺ってかなり情けないよな…」
あー、久しぶりに泣いた気がする。ほんとアリシアにばれなかったことには安堵した。俺だって妹に泣き顔見られるのはちょっとな…。お兄ちゃんとしての尊厳とか、威厳とか…。うん、せめてものだけど。
「やっぱ暗いな。明かり明かりっと」
現在俺がいるのは、先ほどまでアリシアと一緒にいたベランダ。さすがにこの時間帯だと、光源が星だけなため、ほとんど真っ暗だ。ぼんやりなら見えるが、もう少し明かりが欲しい。なので、俺は寝室からちょっと拝借して来た照明ランプをつける。お、いい感じになった。
ここでかっこよく魔法使って、『見ろ、これぞまさに自家発電』みたいなエコな取り組みをしたいけど。……あれだ、わざわざしんどいことしなくていいよね。うんうん。
あれから誕生日パーティーも終わり、寝室へ行き、みんなでベットに入った。のだが、ぶっちゃけ目が冴えてしまっていた俺はみんなが寝静まった後に、こうして抜けださせてもらった。もう何回も思ったけど、転移便利すぎるよ。凡庸性って大切だな。
「それはそれとして。……やりますかね」
ちゃんと向き合うと決めた。いつかは向き合わなくちゃいけないとわかっていたが、今の今まで後回しにしてきたこと。目を背けてばかりじゃ、駄目だってわかったんだ。
俺はいつもポケットにいれているメモ帳を取りだす。やっぱり考え事や考えをまとめるには、俺にはこれが1番だな。俺ってよく考えてることが横道にそれまくるらしいし。
「新暦がえーと、今は38年か。なんか不思議な感じだな…」
《新暦38年 秋 NO.67》とメモ帳に書き込む。今でも思うけど、暦の書き方がなんかこう、うん、変な感じ。別にいいんだけどさ。なのはさん達の時代には、これが新暦60年ぐらいにはなるのかなー。
……数字にすると実感するけど、原作開始時には俺……もしかして今の母さんと年あんまり変わらない? これ下手したら、
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