第十三話 幼児期L
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ヒーローに憧れたことがある人は、実は結構いるんじゃないかなと思う。
俺もなんの根拠もなく、もしかしたら困っている人を助けられるかもしれない。危ない人相手に戦って勝てるかもしれない。とか、軽く考えたことならあった。実際はできないかもしれないし、ヒーローみたいにかっこよくは助けられないかもしれないけど。むしろそっちの方が、可能性として高いと思う。
だから俺は憧れたことはあっても、ヒーローにはなれないだろうな、と当たり前のように思っていた。というか、大体の人はそうなんじゃないかな、と思うんだけどね。誰だって、危ないのはいやだろうし。
とまぁ、何故いきなりこんな話をするのかというと、ぶっちゃけただの愚痴だと思う。自分の頭の中で、文句をたらたら垂れるぐらいには。
俺は今までたくさんの漫画や、一次小説も二次小説も読んできた。その中でもほとんどの小説がハッピーエンドを目指しており、本来なら助からないはずの人を救いだす場面を何回も見てきた。救われる命があるなら救う。そうやって助けていた彼らは、自己満足だろうとなんだろうと確かにヒーローだったのだと思う。
『魔法少女リリカルなのは』
この原作にも多くの二次小説があり、救われなかった人を救う場面がいくつもあった。それぞれやり方は違えど、ちゃんとハッピーエンドになっていた小説も多いだろう。
主人公高町なのはの幼少期の心の傷を癒す場面があった。
八神はやてを孤独から救う場面や、本来消滅するはずだったリインフォースを助ける話もあった。
そして、プレシア・テスタロッサとフェイト・テスタロッサとの和解。死んでしまったアリシアを蘇らせる、そんな場面もあった。
それらは、一概に必ず幸せだったと言えるかはわからない。人それぞれ感性も思いも違うのだから。それでも、間違いなく彼らの物語は、一つのきれいな終わりとして映ることができたであろう。
なのに、なんで俺の時はこんなに違うのだろう。なんで救ったら、それでハッピーエンドで終わらないんだろう。俺はただ1人を、ただ1つの家族を助けたいだけなのに。リインさんや原作の母さんたちを救うことと何が違う。何も違わないはずなのに、決定的に違う。
俺がここに転生してから、ずっと理不尽だと叫んでいた。ずっとふざけんなって思っていた。
ここがもうただの物語の世界ではなく、俺にとって現実の世界だってことは理解している。それでも、この世界は物語から切って離すことはできないんだ。
だって、どう考えても……アリシアが死ななければ、リリカル物語にハッピーエンドは訪れないのだから。アリシアの死が、この世界には必要不可欠なファクターなんだ。なかったら、全てが崩壊してしまうぐらい重要なものだから。
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