第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
日向
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ど分家を縛る呪印があるから動くに動けない、動いてはいけない。宗家に逆らってはいけない。宗家に従わなければいけない。何故ならそれが宗家と分家の運命。日向分家に於ける典型的な考え方ではあった。
「かはっ……!」
ヒナタが崩れ落ち、紅が慌てて駆け寄った。降りてきたガイに、憤懣やるかたないといった様子でヒナタを睨み付けるネジを引き渡し、ヒルマはヒナタの治療にかかる。かなりの重傷だ。下手したら死ぬかもしれない、とヒルマは思いながら治療に徹する。
――日向ヒナタは宗家の長女でありながら落ちこぼれ。日向ネジは分家でありながら、日向始まって以来の天才と呼ばれている。日向ヒナタは必要以上に気が弱く、日向ネジはそんな彼女を恨んでいて、そしてヒルマは日向に関することとなるとあくまで分家だから宗家に何をしてはいけない、したら何をされるとしか考えていない……
そこまで考えていたユナトは不意に考えるのをやめて、ため息をついた。日向がどうなろうと知ったこっちゃないし、知ろうとすれば里は教えてくれるはずだ。里の人間が、ではなく、里が。里自身、里そのものが。
「……どこに行くんだ、ユナト?」
不意にガイに声をかけられたユナトは振り返って、そしていたずらっぽく笑った。
「そろそろ、私の王子様に会いにいく時間です」
「……そうか」
ユナトはにこにこしながら三代目に会釈し、そして立ち去っていった。
彼が高齢の男性よりも愛している人間の一人が、この王子様だったのだ。
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