第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
日向
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ある。
「そうだ。俺の目はもはや点穴を見切る」
一般の白眼使いは経絡系を見ることが出来るが、その中でも経絡系に於ける三百六十一個の点穴を見切れるようになるのは難しい。増してや、ネジの年でそれが見切れるとなったら、それはもっと難しいだろう。
点穴とは針の穴ほどの大きさという言葉が丁度に合うほどの大きさだが、杓子が耳掻きになれないのと同様に、点穴より大きいものでも点穴の変わりになることは出来ない。点穴は忍者にとって、それほどまでに重要なものなのだ。理論上、点穴を突くことで相手のチャクラの流れを止めたり、逆に増幅させたりということが出来る。ネジがヒナタに対して行った攻撃は前者のものであり、ヒルマが治療に使用するのは後者の方だ。
「ひゃあっ――!」
ネジの更なる一撃に吹っ飛ばされたヒナタが地面を転がる。
「ヒナタさま。これが変えようのない、力の差だ。エリートと落ちこぼれをわける差だ。これが変えようのない現実。逃げたくないと言った時点で、あなたは後悔することになっていたんだ」
ネジは荒い息を繰り返すヒナタに言った。
「これが最後通告だ。――棄権しろ」
ヒルマとしては治療の準備はもう整っているらしい――ヒナタがもう負けたと決めてかかっているようなものだった。それも仕方がないだろう。二人の間にある実力差はそれだけ歴然としていたのだ。
「私は……まっ、まっすぐ……じ、自分の……言葉はっ……曲げない! 私も、それが忍道だから……!」
必死に立ち上がり、真正面からネジを見据える。大好きなナルトの前で、棄権するなんて出来るわけがない。第一試験、イビキ相手に「俺は逃げねーぞ」と、ペーパーテストが一問も出来なかったくせに啖呵を切ったナルトの前で、棄権するなんて、出来ない。憧れの人の前でそんな姿を晒してなるものかと、彼女はナルトへの想いを胸に立ち上がった。
「――来い」
ヒナタが再び白眼を発動させ、ネジもそれに呼応するかのように白眼を発動させる。ヒナタが再び攻撃を再開すると思われたその時、彼女が再び血を吐いた。今までよりも激しく血を吐く彼女だが、しかし彼女は棄権しないと、逃げたくないと、そう言った。これは試合だ。彼女がそう言った以上、自分に手加減をしてやる義務はない。ネジは再び柔拳の構えを取った。
「ヒナターッ! 頑張れー!!」
ナルトは人を落ちこぼれだのなんだの言ってきたネジが勝ちそうになっているのが正直、気に食わないようだった。苛立った声でヒナタに応援を送る。片思いの相手からのそんな言葉に、ヒナタは突如として先ほど考えたことを脳裏で反芻した。想い人の前で、このまま無様に負けるなんて、そんなの出来ない。そんなんじゃ格好がつかない。
――私はずっと見てきた
柔拳が飛んでくる。そ
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