第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
日向
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になった。ばしん、ぱしんと乾いた音を打ち鳴らしながら掌と掌がぶつかり合い、チャクラが弾ける。
――ここッ!
ネジの急所を狙って掌を一閃させる。それをギリギリでかわしたネジだったが、柔拳は例え掠っただけでも効果を齎す。リーやガイ、ハッカにユナトが主に使用する、敵に骨折や外傷、つまり外面的損傷を負わせる体術が剛拳と呼ばれるのに対し、ネジやヒナタ、ヒルマ(下手だが一応使えるようだ)の主に使用する柔拳はチャクラの流れる敵の経絡系にダメージを与え、内臓、つまり内面を壊す。ヒルマはそれを利用し、逆に内臓の治癒をしている、というわけだ。柔拳に見た目の派手さはないが、後からじわじわと聞いてくるその攻撃は相手にかなりの損傷を与えられる。どんな頑強な人間でも、内臓だけは鍛えられないために、内臓を直接攻撃されたら致命傷。これこそ日向が名門と言われる所以である。
「ヒルマはこの試合、どう思う?」
「そんなこと言われても……まあ、ネジ君の実力がわたくしより上なのがちょっと悔しいところです」
「ヒルマの柔拳って、ほんっと使えないよね」
「……ユナトさんすっごく失礼じゃないですかそれ」
ヒルマとユナトの会話を他所に、互いの様子を伺っていた二人がまた攻撃を再開した。ぱしん、ばしんと打ちつけられる掌の音が響く。一見、ヒナタが押しているかのように見えた。
二人の一層激しい攻撃が同時に打ち出される。ヒナタとネジは打ち出したその姿勢のまま、暫く硬直していた。めいめいの右手のひらは、互いの胸元に突きつけられている。しかしチャクラが目に見えないものである以上、彼ら二人に内どちらがより多いダメージを与えたのか見分けるのは困難であった。
天使が通っていったかのような沈黙は、ヒナタが血を吐くまで続いた。
「やはりこの程度か……宗家の力は」
ネジの手の甲に血が滴る。ヒナタはネジの腕を強引に払いのけて、次なる一撃を与えようとした。
――まだ……ッ!
しかしネジは片方の手で素早くその腕を掴み、もう片方の指で彼女の腕を鋭く突いた。荒い呼吸を繰り返すヒナタとは対照的に、ネジは全くの無傷だった。
するりと、そのまま彼女の袖を捲る。腕に浮かぶ赤い点を見せ付けられてやっと、ヒナタはさっきまでの間に、ネジが自分にどのような攻撃を繰り出したのかをしった。
「まさか……、それじゃ、最初から……」
一時期ヒナタは自分が押していると思ったが、それはただの間違いだったのだ。本当は、ネジが攻撃をする振りをして自分の腕の点穴を突いていたのに気づけなかっただけだった。点穴でチャクラを止められてしまえばどんなに激しい柔拳の攻撃も効果を成さない。道理で全く同じ攻撃を繰り出したはずなのに、自分だけがダメージを受けたはずだ――最初からヒナタの攻撃は、全く効いていなかったので
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