第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
日向
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踏み込まれたくないと訴えている仕草――それはネジが言ったことが全て図星だからだ。更に、唇に触れたのも、心の動揺を表す自己親密行動の一つであり、緊張感や不安を和らげようと行う防衛本能を示す。
正鵠を射られたヒナタは早くも恐怖と不安とで動悸に襲われ、過呼吸を起こし始め、冷や汗を流し、涙を目元に浮かべはじめた。元々ヒナタの気が小さいのと、ネジの言葉が図星なのと、そしてネジのその恨みと怒気のこもった白眼が彼女をそこまでに追い詰めているのだろう。彼女がギブアップをするのも間近に思えた――最も、この状態じゃギブアップを言えるかも怪しいくらいだったが。
「貴女は本当は気づいているんじゃないのか? 自分を変えるなんて、絶対に出来な――」
「――出来るッッ!!」
言いかけたネジの声をさえぎったのはナルトだった。ユナトの口元に歪んだ微笑が浮かぶ。ヒルマは少し観察していて気づいたが、彼女の笑顔は、切なさを堪えて無理に笑っているために歪んで見えるようだった。どうやらナルトを、彼女の大切な人と重ね合わせているらしい。マイト・ガイよりも、そして、シソ・ハッカよりも愛しく大切な人と、ナルトを。そして重ね合わせて、自分を自嘲しているのだ。彼女は人間は変われても、今よりよくはなれないとそう信じているのだから。
「人のこと勝手に決め付けんな馬鹿ァあ!! っていってやれヒナタあああ!!」
自分も落ちこぼれであった分、ネジの物言いにむかついたようである。自分の為に怒ってくれているらしいナルトの姿に、ヒナタの呼吸は平定し、心は新たな希望と安心感で溢れてくる。
そしてネジの白い瞳は、ヒナタの目つきが確かに変わったことを、捕らえた。
――ナルト君。ありがとう
「――棄権しないんだな? どうなっても知らんぞ」
暗に棄権しろと散々忠告してきたネジも、ヒナタが引かない以上はどうしようもない。自分の実力で叩きのめすのみである。
――私は、もう……逃げたくない!
「白眼!!」
流れるような動作で構えを取る。日向流の構え。木ノ葉で最も強いと言われる体術流派、柔拳の構え。
「ネジ兄さん――勝負です!」
「いいだろう……!」
それに応えるように取られたネジの柔拳の構えもまたヒナタにそっくりだった。リーは以前、サスケ達に向かって放った言葉を思い出す。木ノ葉で一番強い下忍は彼の班にいると。――そしてその下忍こそが日向ネジ――木ノ葉で最も強いと言われる日向流を扱う少年だった。
そして今、最後の試合が幕を開けた――
ヒナタのチャクラを纏った掌の一撃を、ネジが左腕で受け止め、更にくる数発の柔拳をかわし、くるりと回って体勢をかえ、今度は自分がチャクラを纏わせた掌底で攻撃する。暫くはネジとヒナタのチャクラを纏った掌と掌のぶつかり合い
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