暁 〜小説投稿サイト〜
レインボークラウン
第百六十四話

[8]前話 [2]次話
              第百六十四話  亜美も歯は
 アルテミスとセレニティの言う通りだ、亜美は歯磨きを忘れていない。それは彼女の母にいつもこうしたことを言われているからだ。
「錬金術は危険なお薬も使うでしょ」
「うん、硫酸とかも時々使うで」
「それだったらね」
 亜美の母は強い声で娘にさらに言うのだ。
「集中力が必要だから」
「それでやな」
「そう、若し歯が痛くて集中力が途切れたら」
「錬金術をしている時に」
「手に持っている薬をうっかりとかね」
 そうしたことがあって、というのだ。
「亜美ちゃんに大変なことになりかねないから」
「だから歯はなんやね」
「いつも磨いておくのよ」
「うちの為なんやな」
「歯が痛くなって辛い思いするのは自分よ」
 他ならぬ亜美自身だというのだ。
「だからね」
「それでやな」
「そう、歯はいつも磨いていてね」
 そこは絶対にというのだ。
「お勉強も魔法もまずはね」
「歯が命なんやな」
「そう、歯だけじゃないけれど」
 そこもというのだ。
「ちゃんとしておいてね」
「わかったわ、それやったらな」
 亜美も母のその言葉に頷いて答えて言う。
「しっかりと。毎日磨くわ」
「絶対によ、歯を磨いて悪いことはないからね」
「そやな、毎日しっかりとやな」
「魔法はまずお口を綺麗にすることね」
 母はこのことはにこりとして言う。
「それからよ」
「何でもまずは健康ってことやな」
「虫歯だとパイロットにもなれないから」
「あっ、そうなん」
「そう、亜美ちゃんはパイロットには興味ないわよね」
「うちはあくまで錬金術師になりたいんや」
 魔女の中でもそちらだというのだ。
「それか理科の先生にな」
「そうよね、けれどね」
「それでもなのね」
「そう、歯は大事にね」
 これは絶対というのだ。
「いいわね」
「怪我もしない為にやな」
 亜美は母にも関西弁だった、母はそうではないが。
「うちそっちもやるわ」
「そういうことでね」
 母も笑顔で応える、亜美の歯もしっかりと磨かれているのだ。


第百六十四話   完


                              2014・8・30
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ