例えばこんな貴族はとてもじゃないが逆らえない
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
開、速度で圧倒してやる。ライフルもレーザーも最大出力で、こちらも偏光を使って弾道を読めない縦横無尽のレーザー砲撃で迎え撃つ。直撃コースに入った。思わず頬を吊り上げて笑う、が、その笑みはすぐさま驚愕で彩られた。
命中したと思ったレーザーが切り裂かれたのだ。切り裂いた正体はそのまま飛来してゼフィルスの装甲を深く抉った。強烈な衝撃と共にエムが見たその飛来物の正体――それは、ショートブレード。
「接近武装を改造して作った新BTですの。遠隔操作が可能でレーザー技術を刀身に反映させたので、切れ味は抜群ですのよ?――お怪我にお気をつけ遊ばせ」
「ソードBTだと・・・!?どこまでもふざけた真似をぉぉッ!!」
自分に傷をつけられたことに激昂したエムがその剣を撃ち落とそうとするが、BTと同じ速度で飛行するソードBTを捉えきれない。それ所かセシリアがもう1機ソードBTを追加したことで逆にその身を切り刻まれる。
振り払うしかないと加速した先に、他のBT。一斉射撃に加えて拡散レーザーが襲う。拡散レーザーもまた偏光によってその弾道を読めなくしている。直撃は避けたがライフルの砲身が融解したことに舌打ちして、邪魔になったそれを正面に投げ飛ばして自分のBTで撃ち抜く。エネルギーパックが大爆発を起こすが、その爆風に巻き込まれた相手BTはいなかった。その瞬間に更に背中を撃たれる。今度は直撃だ。
「ああ、言い忘れていましたが・・・新型BTにはレーザーを反射する機能もありますの。背中にお気をつけ遊ばせ?」
「遊ばせ遊ばせとッ!私は遊具じゃないんだよ!」
「なら抵抗して見せなさいな。前の戦いではそれなりにやりごたえがありましたのに、いざ再会してみると期待外れですわ」
「―――殺す」
さも残念そうなセシリアの態度を見て、ぶちりと血管の切れる音と共にエムの怒りは頂点に達した。
そこからは前と同じレーザーの応酬だった。しかし、誰がどう見てもエムに勝機はない。
エムが6発レーザーを撃つうちにセシリアは11手の手札を切れる。エムが偏光によって弾道を変化させるレーザーを撃っても、セシリアにはそれを反射させる兵器がある。なによりも――セシリアの先読みと空間把握及び並列思考が、最早純粋な人間の域を逸脱していた。
エムの行動を全て先読みしたうえでBTを撃っている。一方的にだ。勝負にすらなっていない。
勿論、それもティアとの意思疎通、いや意識共有によるもの。簡単に言えば、セシリアの脳は現在ティアの処理能力を疑似的に使用している状態にある。シャルとファリンを含む他のISもそうだ。今までのISには起きていなかった現象・・・名付けるならば相互意識接続と呼ばれる、IS操縦者の新たな境地だ。
2人分の能力と思考を以て一人の戦士になる
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ