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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-2 『ようやく気付いた、真実<ほんとう>の気持ち』
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立ち上がった。
「オレはもう帰るよ、須々野さん。つまんない話に付き合わせて悪かったね」
そして硝子の返事も待たずにもうドアへと向かって歩き出して、
「まって!! 待ってよ目覚くん、最後までちゃんと話を聞いて!!」
硝子が立ち上がる音も聞こえたが、歩みは止めなかったし振り返りもしなかった。
ドアに手をかけた所で、
「お願いだから、逃げないでちゃんと聞いて!!」
反対側の手を硝子に掴まれた。
「……手、離してくれないかな」
振り返って、目を合わせた瞬間。硝子が息を呑んだのがわかった。
──まあ、それも当然かもしれない。
今の自分は、多分ソフト観戦の時の──硝子を冷たく無視して、
泣かせてしまった時と同じような──目で見下ろしている筈だから。
一瞬、申し訳ない気持ちも湧き上がりかけたけれど、今の自分にはあの時同様、余裕はなかった。
そんな所に、またバカな話を繰り出されてはどうしても平常心は保てなくて。
冷たく見下ろし続けていると、硝子はそれにブルッと震えて、……それでも、手は離さないままに、
「め、目覚くんが怒るのも仕方ないと思うけど、でもちゃんと聞いてほしいの!!」
震え続けたまま、そんな風に懇願してきた。
「目覚くんがそんな風に頑なだから、まくらは苦しむ事になったの!!
だ、だから、ちょっとの間でいいからっ、先入観を忘れて、私の話をき、きいて……」
俯いて、ついには涙声になって。
……そうなっては、流石にもう冷たくし続ける事も出来なくて。
「……わかったよ、須々野さん。ちゃんと聞くから、だから泣き止んでよ……」
今度はこっちが懇願するかのような声を出すと、それでもう逃げはしないと安心できたのか、
硝子がぐすっと鼻をすすりながらもこちらの手を離して。
俯いたまま眼鏡を外すと、眼鏡に零れた涙をメガネ拭きで拭き取り始めた。
計佑もまたハンカチを取り出すと、硝子の頬の涙を拭ってやる。
──と。
硝子がいきなりギシっと硬直して。やがてギギっと目を見開いて、こちらを見上げてくる。
「……え? な、なに? どしたの須々野さん……?」
いきなり妙なリアクションをとる硝子に困惑したが、少女の顔は赤くなっていく一方だ。
そしていきなりグルっと後ろを向くと、
「め、目覚くんのハンカチが汚れちゃう……!! そ、そんな事してくれなくていいから!!」
「ええ? 涙くらいで何言って──」
硝子の前に回りこもうと動きかけた瞬間、
「いいからッ!!! もうそういう事しないでよっ、こんな時なのにぃ!!!」
金切り声で叱られて、金縛りにあってしまった。
──空気を読まない天然たらしっぷりは、もはや芸術の
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