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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第25話-1 『冷め切ったまくら。雪姫との初めてのデート。「計佑くんの手……私の大好きな、計佑くんの手だ……!」』
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二人の、とあるラブシーン──と言っても、
一般的な肉体関係を描くようなものではなく、手話を使いつつ、
手や指を何度も絡み合わせたりする独特の──で魅せる二人の交流に、完全に魅入ってしまって。

──……先輩の手、握りたいな……

 独特のラブシーンに触発されて、そんな欲求が生まれていた。
 心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。

──……に、握ってもいいかな……!?

 初心すぎる少年にとっては、手を握ろうとするだけでも一大決心だった。
 今までに、雪姫の手を握ってきた事は幾度もあったけれど、
少年にとっては、それは求められての事か、非常事態ゆえかのものばかりで。
 こんな風に、下心から行動しようとしていたのは初めてだった。

……まあ、既に結構色々な経験を経てきている癖に、ようやく目覚めた下心が
『手をにぎる』
なのだから、相変わらず奥手すぎる少年ではあったのだが──

 ともあれ、とうとう決心して。
 バクバク煩い心臓と、ドクドクと全身を熱く駆け巡る血に後押しされるように、
ジリっと右手を動かした瞬間──先に、雪姫の方が左手を重ねてきた。

──!!!!!!

 驚きもあって、バッと音がする程の勢いで右手を逃して。

……雪姫の左手を、払いのけるような形にまでなってしまった気がした。

「あっ、す、すいません……!」

 今は上映中だ、大きな声は出せない。
慌てて小声で謝ったが、ちょうど大きな音がスピーカーから流れ、雪姫に届いたかは怪しかった。
 それでも話し込む訳にもいかず、とりあえずスクリーンに向き直る。

──くっそ、恥ずかしい……!!

 自分の下心が完全にバレてしまった様な気がして、顔が熱くなった。

──くうっ、ホントになんでこんななんだよっ、オレは……!! ヘタレにも程があんだろ……!!

 別にバレていたって構わない筈なのに。
雪姫の方だって手を伸ばしてくれていた訳で、つまりは、きっと自分と同じ気持だった筈なのだから。
だというのに、恥ずかしくて逃げてしまった自分が、本当に情けなかった。

──……せめてもの救いは、今のオレの顔を先輩に見られずに済んだコトかな……

 きっと真っ赤に染まってるいるだろう自分の顔を見られていたら、
後でまたからかいのネタにされていただろう──と、そんな風に自分を慰めて。

 そんな風に考えてばかりで、少年は愕然とする雪姫に気付かないまま──
いつしか、また映画に魅入り始めるのだった。

─────────────────────────────────

 やがて映画が終わり、スタッフロールが流れ始めて。
ラストも爽やかに締めてくれた映画に、計佑が満足の溜め息をついた。

「先輩って、スタッフ
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