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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-1 『合宿二日目・まくらの怒り。雪姫たちの喜劇。「妹扱いくらい、続けてよ……」』
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親に会いたくても会えないヤツだっているんだから」

 そう続けた途端、アリスがハッと顔を上げた。
その目は真っ赤になっていたけれど、ようやく自分の顔に視線を合わせてきたアリスに、微笑がもれた。

「まくらの親の話、したコトあったよな?」
「……あ……うん……」

 気まずそうに頷くアリス。あの時の事は、アリスには痛い想い出だろう。
また俯いてしまうアリスを他所に、計佑は暫し、まくらの母親の事を思い出していた。

 まくらとは正反対で、とても淑やかな雰囲気の人だった。
幼い頃の計佑は、すぐに鉄拳を振るう由希子よりも、まくらの母のほうに懐いていたかもしれない。
 だから、亡くなった時には──勿論、まくらに比べたら全然だろうけれど──随分泣いたものだ。
尤も、まくらが陰で泣いているのを見つけてしまった時に──子供心に "自分が守ってやらなければ" 
と思うようになってからは、泣くのをやめて、まくらの兄として振舞おうとし始めたのだけれど。

 やがて、回想から戻った計佑が殊更明るい声で、

「……だからだなっ。少なくとも会いたいって気持ちあるんなら、素直に従っとけよ!
お前には、本気で意地張ってる姿なんて似合わねーんだよ。
意地っぱりに見えて、実はめちゃ素直ってトコが、お前はカワイーんだからさっ」
「……っっ!!」

 そんな言葉をかけると、アリスが息を呑んで顔を赤くした。
その様に少年は笑顔を浮かべると、今度は優しく──それこそ昨夜のように──アリスの頭を撫でてやる。
 さっき、徹底的にぐちゃぐちゃにしてしまった髪を、元通りにもしてやろうと手櫛をかけるが──

「……悪い。ちょっとやりすぎたみたいだな」

──ちょっと元通りという訳にはいかないようだった。
 頭を下げたが、アリスは赤い顔のままプルプルと首を振った。

「……ううん、いい。そんなコト、どうでもいい……」

 ポ〜っとした目で、計佑の顔を見上げてくる少女。

「……やっぱり、けーすけはすごいよね……けーすけは、いつも私のコト楽にしてくれる……」

 アリスがゆっくり立ち上がって。

「……パパ達の事は、もっかいちゃんと考えてみる。……でも、今ならなんだか、素直に会えるような気がする」

 そう言って、はにかむアリスに、計佑のほうも改めて破顔した。

「そっか。まあ、頑張れよ」

 立ち上がって、ポン、とアリスの頭に軽く手をバウンドさせた。

「うん! じゃあ、先に戻ってる」

 弾けるような笑みを見せて、くるっと身を翻すと、もうアリスは振り返る事もなく全力疾走で去ってしまい。
 その後姿を満足気に見送って、やがて完全に見えなくなると、微笑のままで軽くため息をついた。

「ふう……オレなんかが
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