暁 〜小説投稿サイト〜
白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第24話-1 『合宿二日目・まくらの怒り。雪姫たちの喜劇。「妹扱いくらい、続けてよ……」』
[7/20]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
計佑も手を止めた。

「……な、なんでぇ? ……この髪、キレイにするの大変なのにぃ……」

 涙目で見上げてくるアリスに、視線を合わせる為計佑もしゃがみこむ。

「先輩に聞いたんだよ。オマエ、ホントは親父さんに会えないんじゃなくて、会おうとしないだけなんだってな?」

 睨みつけると、アリスは「うっ」と言葉に詰まる。

「紛らわしい言い方しやがって……そんなに寂しいんだったら、変な意地なんか張らずにちゃんと親父さんに甘えろよ」

 そう諭すと、アリスはプイっと顔を背けてみせた。

「イヤだっ!! パパはアタシを放り出したんだ!! アタシは一緒にいたいって言ったのに……
なのに都合のいい時だけ会いにくるなんて、そんなオトナの勝手に付き合うもんかっ!!」

 そんな風に叫んで、悔しそうに唇を噛み締めるアリスに、一瞬なんと言っていいかわからなくなる。
 雪姫から簡単に話を聞いた限りでは、決してそこまで大変な話ではないようだけれど、
それでも何不自由ない家庭環境にいる自分が、したり顔で説教していいとは思えない。
……けれど。
根は素直な少女が、こんな風に意地を張り通そうとしている姿なんて、痛々しくて見ていられなかった。
だから──お前は何様なんだよ、という自己嫌悪を押し殺して──説得を始める。

「……お前、別に親父さん達のコト、キライになったって訳じゃあないんだろ?」
「……キライだよ。前は好きだったけど、もう今はキライだ……」

 不貞腐れたアリスが、呟くように答えた。

「ウソつけ。本当にキライなら、なんでそんなに拗ねてるんだ?
好きだからこそ、悔しくて、ずっと拗ね続けたままなんだろ?」
「……違うもん」

 アリスが、膝に顔を伏せる。

「いいや、違わない。……本当に親父さん達がキライになったのなら、
約束の日には、外に逃げるなりしてるハズだろ。……なんでいつもいつも、部屋に閉じこもってるんだ?」
「っ!」
 
 ビクリとアリスの身体が震えた。

「ドア越しにでも、親父さん達の声が聞きたいからじゃないのか?
来た時と、帰る時……窓越しにでも、親父さん達の姿を見たいからじゃないのか?」

 ブルブルとアリスの身体が震え始める。

「お前の気持ち、本当はどうかなんて、そりゃあオレにはわかる訳ないんだけどさ。
お前が本気の本気でイヤだって言うなら、そりゃあ部外者のオレが家族の事に口出しなんて出来ないんだけどさ。
……でも、会いたいって気持ちがちゃんとあって、会っちゃダメな理由なんてないんなら……
絶対に意地なんて張るべきじゃないんだ。それだけは、絶対、絶対に間違いないんだ。だって……」

 そこで、一旦言葉を切ってから──

「……だって、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ